AIこそがDeNAの目指す本命

自動運転はここ数年来、自動車業界で最もホットな話題として扱われているキーワードだ。既存の自動車メーカーのみならず、電気自動車で急速にシェアを伸ばす米テスラモーターズ、さらにはグーグルやアップル、ウーバーなど、IT企業の参入も大きな話題となっている。

自動運転には、刻々と変わる自動車の周囲の情報をきめ細かに集めるためのセンサー技術と、そこから得られた情報を高速に処理し、安全性を判断して自動車を制御するソフトウェア技術が必要だ。特に後者は、コンピュータの高性能化だけでなく、状況を判断する人工知能(AI)技術が劇的に進歩したことにより、急速に実用化の目処が立ちつつある。

AIの開発にはさまざまな手法があるが、特に深層学習(ディープラーニング)と呼ばれる手法が確立したことにより、これまでのソフトウェア開発から比べると飛躍的な発展が望めるようになった。たとえば、あと10年はかかると思われていたプロ囲碁棋士をAIが倒すという目標は、ディープラーニングによってわずか2~3年で達成されてしまった。

また、ディープラーニングによって新薬が開発されるなど、幅広い分野でこれまで考えられなかったような発展を見せている。新たに参入した事業であっても、AIを活用することで、業界トップに躍り出る可能性のある市場が、大量に残されているわけだ。

ディープラーニングによる発展速度の上昇率は、これまでの常識をはるかに超えるものとなっており、これがDeNAがAIに注力する理由となった

DeNAとしてはまさにここに目をつけ、今後の成長のための大きな原動力としてAI技術を育てていきたいわけだ。モビリティー市場への参入も、もちろん単独の事業としての成長性はさることながら、AIを使ったさまざまな事業への布石と見たほうがいい。