アドバンテストは7月6日、同社のテストシステムである「V93000」の新テストソリューションとして高周波用IC(RFIC)向け「Wave Scale」を発表した。本格的出荷は2016年の7~9月期を予定している。

新製品は「Wave Scale RF」および「Wave Scale MX」の2種類のモジュールをそろえ、第5世代移動通信(5G)に使われるRFICや無線通信用ミクスド・シグナルICを極めて高い同時測定能力でテストできるとしており、テスト・コストの削減に加え、新しいデバイスの早期市場リリースに貢献するという。

携帯電話の通信規格であるLTE/LTE-Advanced/LTE-A Pro向けICや、LTE-M/WLAN/GPS/ZigBee/Bluetooth向けIC/IoTデバイスに、高効率のテスト・ソリューションを提供する。現在のテスト需要に合致するとともに、将来の5G技術への移行にも対応している。

従来のRFテストは4サイトから8サイトを同時にテストしていたものの、1サイトあたり1つのRF規格しかテストできなかったが、同製品では、同じデバイス上の複数のRF規格や回路を同時にテストできる。サイト内の同時測定とマルチサイト効率を実現し、複合RFデバイスのテスト・コストを削減するという。

Wave Scale RFモジュールは、1枚あたり4つのサブシステムが独立して信号を印加・測定することにより、LTE/GPS/Bluetooth/WLANといった異なる通信規格のデバイスを一度にテストできる。

また、各サブシステムは8つの独立したポートが一斉にRF信号を発生し、4台の計測器と同等の働きをするとしている。これらのサブシステムは送受信含め最大8サイトまで使用できるため、モジュール1枚当たりの最大サイト数は32サイトとなる。またテストスピードは、32ポートを最高6GHzまでカバーする。

そのほか、200MHzの帯域幅、ループバック、エンベデッド・キャリブレーションなど各種の機能により、現在のRFデバイスから将来の5Gデバイスまで、幅広くサポートするとしている。

一方、Wave Scale MXモジュールは1枚当たり32個の完全に独立した測定部と、各ピンにパラメトリック測定ユニットを有する。高精度のDC測定を可能にし、アナログIQ ベースバンドや高速DAC/ADCのテストに適している。

さらに、同モジュールには16ビットのACリソースがあるため、各種無線規格に最適なテスト・パフォーマンスを実現するという。300MHzの帯域幅により、チャネル・アグリゲーションなど最新の変調規格にも対応。

加えて、IOマトリックスはロードボードの設計を簡素化するとともに、マルチサイトテスト能力を向上し、テストピンを有効に活用できるという。キャリブレーションには複雑な測定器を必要とせず、IQキャリブレーションボードで行える。

Wave Scale RFとWave Scale MXの各モジュールはシーケンサーで同時制御でき、それぞれ独立したテストを同時に行うことが可能。同製品の初号機は中国のファブレス企業がすでに設置し、最新のLTEカテゴリ6対応デバイスのテストや、LTE-Advancedカテゴリ10、およびカテゴリ16対応デバイスの開発に使用している。