キーサイト・テクノロジーは2月15日、同社のシグナルアナライザ「Xシリーズ」を刷新し、全機種にマルチタッチユーザーインタフェース(UI)などを搭載した新ラインアップを発表した。
新Xシリーズは、従来シリーズのハイエンドモデルとなるUXAシリーズに採用された各種技術をベースに開発されたもの。ローエンド側から、「CXAシリーズ」、「EXAシリーズ」、「MXAシリーズ」、「PXAシリーズ」、「UXAシリーズ」の5シリーズが提供されることには変更はないが、いずれもマルチタッチに対応したUIが採用されたほか、ディスプレイサイズも従来の8.4型XGA(1024×768画素)から、10.6型WXGA(1280×768画素)に変更が施された(UXAシリーズのみ、従来から変更なしとなる14.1型WXGA(1280×800画素)のまま)。
キーサイトのシグナルアナライザのシリーズラインアップ。ローエンドのCXAからハイエンドのUXAまで、新シリーズではすべての機種でマルチタッチに対応した。ちなみに、シグナル・アナライザは一般的にはスペクトラムアナライザ(スペアナ)と呼ばれているが、同社としては、信号解析も可能なことなら、シグナルアナライザと呼んでいる |
これに伴い、UXAシリーズを除く4シリーズの型番の末尾が従来の「A」から「B」へと変更されたほか、搭載プロセッサもIntel Core i7が全機種搭載となり、処理性能の向上も図られた。また、全シリーズともに外観デザインが従来の白ベースのものから黒ベースのものへと変更されており、同社米国本社の担当者によると、「新しい製品カラーは、キーサイトのカラーパレットを使用しており、計測器や付属品のカラーは、キーサイトのレッド、ホワイト、ブラックが生えるチャコールグレーを基調としたグレーを採用した」としており、今後の製品についても、同じカラーとマルチタッチディスプレイを採用していく予定としている。
ちなみに、UIの変更に伴う操作性の変化については、極力混乱を抑えるという意味もあり、メニュー構造などは過去のものを踏襲しているほか、既存のソフトウェアのサポートや、100%のコード互換性なども実現している。
加えて、マルチタッチ化および大画面/高解像度化に伴い、異なる測定のタブを最大16個まで一度に表示することが可能(ただしリアルタイム観測を行うのは、それらの中からタブを1つ選択する必要がある)。外部出力も可能なため、タッチ機能を搭載した大型ディスプレイと接続することで、よりタッチ操作の利便性を向上させることも可能だ。
従来製品と新シリーズとの違い。赤文字で記述された部分が主な変更点。全シリーズでIntel Core i7搭載となり、処理性能が向上したほか、Windows 7ベースのOSの採用によるマルチタッチ対応を果たした |
このほか、外観だけの変更のように見えるUXAシリーズについては新たなオプションとして、44GHzと50GHzの周波数モデルオプションを追加したほか、1GHz解析帯域幅オプションも用意した。また、PXAシリーズについても、UXAシリーズ同様の255MHz/510MHz解析帯域オプションを追加したほか、X-COMの15TBメモリ搭載レコーダーと接続することで、255MHz帯域の長時間IQリアルタイムストリーミングを実現することを可能とした。
なお同社では、併せて雑音指数アナライザ「NFA Xシリーズ」として40GHzモデルを新たに発表しているほか、今後も従来モデルを平行して販売していく予定としており、従来モデルにマルチタッチ機能を追加するアップグレードにも対応するという(フロントUIならびにディスプレイサイズが変更される)。また、新シリーズの価格は従来モデルと概ね同じ程度の価格としており、基本構成価格は360万円(税別)からとしているが、従来機種を所有するカスタマに対し、新シリーズへの買い替えを促進することを目的に、新モデル購入時に従来モデルを新モデル定価の最大50%相当額で下取りを行う買い替えキャンペーンも実施。2月15日時点では、キャンペーン期間を半年程度をめどに続ける予定としているが、反響次第では延長の可能性もあるとしている。
さらに同社では新シリーズの販売を記念して、3月8日および9日に、実際にタッチ操作可能なシグナルアナライザの基本的な使用方法などを学べる無料セミナーを実施するとしている。定員は各回9名で、応募者多数の場合は抽選により受講者を決定するとしている。募集受付は同社Webサイトにてすでに開始されており、同社では「これまでスペクトラムアナライザを活用してきた人たちはもちろん、これまでそうした機器に触れたことがない人たちにも是非参加してもらえれば」とコメントしている。