3D Systems Japanはこのほど、米ラスベガスで1月6~9日に開催されたConsumer Electronics Show(CES 2016)で発表した新製品について記者説明会を開催した。幅広い製品がラインナップに加えられたので本稿では発表の中から注目の製品を3Dプリンタと素材に分けてご紹介する。
フラッグシップ製品の新モデルが登場
金属3Dプリンタはさまざまな材料が使用できることが特長の1つだが、中には安全性が問われる材料があった。これに対し、金属粉末焼結3Dプリンタ「ProX DMP 320」ではチャンバ内の酸素濃度を低く抑えることで安全性を高め、純チタン、ニッケル、ステンレスの造形を実現。また、着脱可能なプリントモジュールによって生産性を高め、双方向の材料供給方式を採用することによりレイヤリング時間を短縮した。
造形サイズは275×275×420mmで、販売代理店であるキヤノンマーケティングジャパンの発表では価格は1億1000万~(税別)となっている。
「Projet MJP3600」は同社のフラッグシップ製品であるマルチジェット方式3Dプリンタ「Projet MJP3500」の後継機。造形スピードが前世代機の2倍に向上したほか、ファイル読み込みサイズも2.5倍に増えるなど大幅に機能が向上している。また、100Vの電圧で使用できるため、オフィス環境におけるラッピドプロトタイピングの力強い味方となりそうだ。
造形サイズは最大298×183×203mm。出荷は1月下旬を予定しているが、1月25日現在で価格はまだ発表されていない。
また、「Projet MJP」シリーズではオフィスサイズの「Projet MJP2500」についても情報が公開された。同製品はよりオフィス・フレンドリーな3Dプリンタを目指しており、ワークサイズはA4くらいとなる模様。現在βテスト中で、発売時期・価格は未定。
伸び率650%の材料が使用可能に
材料では「ProJet MJP 5500X」の無償アップグレードにより使用可能となる新エラストマー材料「VisiJetCE-BKエラストマー(黒)」と「VisiJet CE-NTエラストマー(ナチュラル)」が登場した。これまでエラストマー材料は破断しやすい、形状がきちんと出力されないという課題があったが、「VisiJetCE-BKエラストマー」および「VisiJet CE-NTエラストマー」は650%という高い伸び率を持ちながらこれらの課題を克服した。
また、エントリモデルである「CubePro」向けには材料に木粉を混ぜたウッドマテリアルがラインナップに追加された。3Dプリンタの導入事例が少ない中小規模の木工加工業での利用を想定しているほか、個人利用でも高い需要を見込んでいるという。
同社は今回の新製品追加で、価格・用途ともに隙間ないポートフォリオの構築した。また、3Dプリンタ・素材だけではなく3Dスキャナ製品の強化も図っているため、ユーザーはスキャン、3Dデータの編集、そして造形まで一貫して同社のソリューションを使用することができる。網羅的な3Dプリンタのポートフォリオを持ち、造形プロセスの上流から下流までカバーするようになった同社が今後、どのような戦略を打ち出していくのか注目していきたい。