半導体市場調査会社である米IC Insightsは1月6日(米国時間)、世界の半導体企業における生産能力トップ10を発表した。同社は毎年1回12月度の各社の生産能力を調査している。生産能力とは、既存ラインでフル生産したと仮定した場合の生産量で、実際の生産量に基づくランキングとは異なる。

10社の顔触れは、一昨年と変わらず、米国に本社を置く企業が4社、韓国・台湾企業がそれぞれ2社、日本・欧州各1社で構成されている。順位もほとんど変動しておらず、GLOBALFOUNDRIES(GF)が旧IBMの生産能力を加算して前年比18%増となったため、前年の7位から順位を1つ上げた。一方、Intelは、生産能力を1%減少させ、6位から7位に降下した。Intelの生産能力が減少した理由として同社は、中国・大連のロジックIC生産ラインの稼働を停止し、3D NANDフラッシュメモリおよび3D Xpointメモリを生産するための準備をしているためと説明している。

トップ10社の2015年末時点での生産能力の総計は、月間1173万7000枚(200mmウェハ換算)であり、この10社だけで世界全体の生産能力(1635万枚)の72%を占めている。2014年末の71%から1ポイント上昇した。世界全体では、半導体生産能力は前年同月比6%増加した。

2010年代末に向けて、製造から撤退してファブライト・ファブレスを目指す半導体メーカーがさらに増えると予測されるので、これに伴い、Samsung Electronics、TSMC、GF、UMCなど製造受託企業の生産能力は今後さらに増加すると予測される。

2015年12月時点で世界最大の生産能力を有する半導体企業はSamsungで、月当たり250万枚(200mmウェハ換算)の生産能力がある。世界中の生産能力の15.5%を占めている。世界最大の生産高を誇るIntelの生産能力は月間71万枚で、Samsungの1/3以下である。Intelチップの単価が非常に高いことを示唆される。

3位のMicronの生産能力には、2015年12月に完全子会社した台湾Inotera Memoriesの生産能力を含む。Micronは2013年にエルピーダメモリを買収して、生産能力を従来の6位から3位に上げ、それ以降、Samsung、TSMCに次ぐ地位を確保している。

4位の東芝/SanDiskは、両社が共同投資し運営している東芝四日市工場NANDフラッシュメモリ量産ライン群のほか、東芝の大分工場や各地の子会社の生産能力を加えた数値となっている。

また、STMicroelectronicsは、ファブライト化を進めており、ファウンドリへの生産委託を増やしているので、生産能力が減少傾向にある。

表1 2015年度の半導体生産能力ランキング・トップ10(2015年12月時点の月間生産能力(200mmウェハ換算枚数))。表の最上段左から、2015年の順位、2014年の順位、企業名、本社所在地域、2014年12月度の月間生産能力(1000ウェハ/月)、2015年12月度の月間生産能力(1000ウェハ/月)、前年比増減、世界規模の生産能力におけるシェア、含まれる合弁企業や最近買収した企業の生産能力。表中、+IM Flashは、IntelとMicron Technologyのフラッシュメモリ製造合弁会社IM Flashの生産能力を案分して含んでいると言う意味