東京工業大学(東工大)は11月6日、リチウムイオン電池の充電・放電原理を用いることにより、チタン酸リチウムの超伝導状態制御に成功したと発表した。
同成果は、東工大大学院理工学研究科の吉松公平助教と大友明教授らの研究グループによるもので、11月6日に英科学誌「Nature」姉妹誌のオンラインジャーナル「Scientific Reports」に掲載された。
今回の研究では、超伝導材料であるチタン酸リチウム薄膜を負極に用いたリチウムイオン電池構造を形成。この電池に対し、充電・放電操作を行い、同時にチタン酸リチウム薄膜の電気抵抗を測定した。
この結果、超伝導状態のチタン酸リチウム薄膜にリチウムイオンを挿入する充電反応を行うと、常伝導状態への転移が観測された。一方、チタン酸リチウム薄膜からリチウムイオンを脱離する放電反応を行なうと超伝導状態を回復させることに成功したという。
また、充電・放電操作前後での超伝導転移温度を比較したところ、両者が完全に一致していたため、充電・放電サイクルを繰り返しても安定に同現象が発現する可逆的な超伝導転移であることが明らかになった。これにより、超伝導-常伝導状態のスイッチングが可能となり、超伝導エレクトロニクスの実現が期待されるとしている。