その一方で割り切っているアプリもある。村役場の職員や利用している高齢者が「新聞のやつ」と言っている新聞アイコンのアプリは、実はキュレーションアプリの「SmartNews」。ニュースキュレーションアプリは、IT先進層にこそ話題となっているが、利用者の伸び悩みなども指摘されている中で、こうした"もっとも縁遠い存在"にも利用され、「いつも新しいニュースが見られるから毎日見ている」という感想が出てきたことは、個人的に意外にも思えた。これ以外にも、「ラジオアプリ」としてNHKの「らじる らじるアプリ」が用意されている。これは、ラジオの難聴取地域である天龍村による要請でインストールされたもので、高齢者にも好評だという。

SmartNewsやSkypeなど、私たちにも馴染み深いアプリがインストールされている

こうした仕組みは先にも説明したが、ホームアプリの設定で規定のアプリを変更できる。ニックネームの設定や背景画像、アイコンの画像まで、細かいカスタマイズをできるようにしたことは、法人営業部としての知見が役に立っているようだ。

「アプリの構造を考えることは大変だった。アプリをイチから、というよりもゼロからのスタートだったので、長野県内の一番のアプリベンダーさんと何度も何度もやりとりしたんです」(ドコモCS 長野支店 法人営業部 SE担当 陳 世源氏)

「汎用性をもたせた理由は、提案先が求めているものに当てはめやすいようにしたのです。法人営業として、一般企業さまに提案している時にいつもやっていることで、横展開しやすいように、最初から考えていました。待受画面の背景画像が変えられるという話を別の自治体さんで話したら喜ばれました(笑)」(山田氏)

実際に、6月より全国展開を開始したというリリースにあるように、ほかの地域でも展開を目指すドコモとしては、横展開しやすいこのアプリは"地方発"のソリューションとしても、かなり完成度の高いものだったのだろう。山田氏と新堀氏、陳氏らは、すでに展開している天龍村の高齢者の声を、東京の本社に逐次伝えているそうだ。

細かくカスタマイズできる"おらのタブレット"。設定ファイル配信によって、遠隔での設定変更も可能だという