カネカは7月30日、グループ会社であるバイオマスターが運営するセルポートクリニック横浜が、培養脂肪幹細胞を用いる乳房再建療法の臨床研究を9月より開始すると発表した。
乳がんの手術で乳房を摘出した場合、精神的な苦痛や日常生活の不都合などが生じるため、乳房再建が試みられる。乳房再建では、自身の背中や腹部の組織を用いる筋皮弁法やシリコンなどの人工物を挿入するインプラント法、脂肪・ヒアルロン酸注入などが行われているが、安全面を含め満足度の高い再建が得られない場合がある。
これに対し、臨床研究を開始する再建療法では、自身の少量の脂肪から取り出し培養で増やした幹細胞を脂肪と混ぜることによって乳房を再建する。取り出す脂肪量が従来の脂肪移植にくらべて少なく負担が小さいことに加え、自身の幹細胞と脂肪を用いるため、安全に元の乳房に近い状態への再建が期待できるという。