平成13年(2001年)4月1日に施行された「資源有効利用促進法」により、法人から廃棄される使用済みパソコンは、自治体への産業廃棄物実績報告に含む必要があり、たとえPCリサイクルマークがついていたとしても産業廃棄物扱いとなっていた。

安全なリサイクルとしてメーカーへ回収を依頼するという方法もあるが、再資源化処理費などがかかるほか、データの消去も顧客任せ、マニフェストの起票・管理がなされない、といった課題があった。そこで、そうしたコストをなるべくかけずに、法人パソコンを安全・安心に処分する新手法として2013年9月にオープンしたのが法人専門のPC・事務機器リサイクルサービス「オフィサイクル」だ。同サービスを提供するWebサイトは3月5日にリニューアルし、使い勝手のさらなる向上や申し込みなどを手軽に行えるようになったという。

「オフィサイクル」のWebサイト。3月5日にリニューアルされ、利用者にとっての使い勝手が従来以上に向上した

オフィサイクルがサービスを提供するうえで、もっとも気を付けていることは、企業のIT担当者の不安を取り除くこと、ならびに手間を省き、経費を減らすことだという。

例えばPCそのものの処分費用。送料負担で指定の住所に送付するか、直接店舗に持ち込むのであれば、処分費用はかからないというから驚きだ(回収を依頼した場合は、別途回収費用がかかる)。なぜ、無料で回収できるのか?。秘密はオフィサイクルが産業廃棄物業者ではなく、「リサイクル業者」だから、という点にある。回収されたPCは国内にあるISMS27001 情報セキュリティマネジメントシステムを取得した提携リサイクル工場にて分解され、素材を細分化して余すところ無くリサイクルを実施。現状、木やガラスを除き、リサイクル率はほぼ100%を達成しているとのことで、余分なコストの削減と併せて、無料での回収を実現したとする。

また、回収業者が回収した企業のPCからデータを盗み出し、それを悪用する、といったことも考えられるが、同サービスでは、データ漏洩リスクをゼロにするため、「記録媒体の再利用」はせずに、取り外したHDDを専用機器で物理破壊処理を行い、素材ごとに分類してリサイクルを行っているという。これらの消去作業費ももちろん無料で、顧客が希望する場合はデータ消去証明書の発行も行っているという(証明書発行は有償提供)。

さらに、そうしたデータ消去証明書のほかにも、引き取り証明書や資産譲渡証明書・リサイクルマニフェストなど、各種の証明書の発行にも対応している(各種証明書の発行は有償提供)。ちなみに証明書の価格は、データ消去証明書が10台までが1台につき2100円(税込)、11台目以降は1050円(同)となっているほか、引取証明書および資産譲渡証明書が10台単位で2100円(同)、リサイクルマニフェストが1通につき2100円(同)となっているという。

こうしたサービスの使い勝手の高さと回収後の扱いに関する高信頼性、そして経費がかからない、という特徴から、同サービスを利用する法人は、ホテル、テレビ局、家電量販店、メーカーなどのほか、県庁や市役所といった各種自治体や公的研究機関などといった、個人情報や機密情報を扱う団体などに及ぶという。

「オフィサイクル」を提供するいっとくの代表取締役を務める永野間祐一氏

加えて、スペックの高いPCや発売後4年以内の商品の場合は、買取も行っているほか、外観破損のないPCや液晶モニターについては、1台あたり200円のAmazonギフト券を還元するサービスも行っているため、これまでPCの廃棄にかけていた経費を、利益に転換することも可能だ。 なお、同サービスを提供する株式会社いっとくの代表取締役を務める永野間祐一氏は、「これまでかかっていた廃棄コストがゼロになるということで、不法投棄やデータの漏洩が起こるのではないかと慎重になるIT担当者が多いことは承知しています。そうした不安を払しょくする意味でも、まずは、電話やメールで気軽に問い合わせをしていただきたい。台数が多い案件は、現場に伺って直接お話させていただくことも出来ます」とコメントしている。

また、個人向けにはパソコンリサイクルセンターも用意されているとのことなので、個人の方も買い替えなどで不要なPCがでてきたら、活用してみるのも手であろう。