QDレーザと東京大学(東大)ナノ量子情報エレクトロニス研究機構は共同で、視機能が低下している人々(ロービジョン)のケア向けとして網膜走査型レーザアイウェアプロトタイプを開発したと発表した。

開発したレーザアイウェアは小型半導体レーザプロジェクタをメガネフレーム上に配置し、装着者の網膜をスクリーンとして、デジタル画像情報を提供する。従来の液晶と異なり、原理的にプロジェクタの構成であるため、小型デバイスでありながら大画面を提供できる。また、RGB単色光源として半導体レーザを用いるため、高輝度・高色再現・低電力を実現する。

PCなどの文字や映像情報を網膜の任意位置に直接描画が可能。光学的にフォーカスフリーとなるため、装着者は視力にかかわらずクリアな像を見ることができる。さらに光学ユニットをメガネフレームの内側に配置できるため、アイウェア外観に違和感を感じさせることがない。

そのほか、眼鏡フレーム中央のカメラモジュール搭載や、両眼視対応、光学的輝度調整、装着者に合わせた多段階フィッテング、メガネフレームを覆うカバーによる遮光等、ロービジョンケアに有効な機能を備えている。

今後はこのプロトタイプを使って、国内の大学医学部眼科教室や教育機関などと連携し調査を行うことで、レーザアイウェアを視覚補助器として使用する有用性と安全性を明確にし、視覚補助器としての仕様、デザイン、ユーザーインタフェースを最適化する計画としており、2015年9月に量産プロトタイプを完成させ、2016年3月までに商品化する予定だとしている。

なお、このレーザアイウェアは3月4日~6日、米国サン・ディエゴで開催された障害者と技術の国際会議「30th Annual International Technology and Persons International Technology and Persons with Disabilities Conference」において展示された。

網膜走査型レーザアイウェアプロトタイプ

網膜走査型レーザアイウェアプロトタイプ(装着時)