応用物理学会業績賞に |
応用物理学会は、長年にわたりインターネットや書籍などを通じて応用物理学をわかりやすく解説して、若手研究者・技術者の育成と社会への普及活動を進めた業績で、佐藤勝昭(さとう かつあき)東京農工大学名誉教授(73)に学会業績賞(教育業績)の授与を決めた。授賞式は3月11日、神奈川県平塚市の東海大学湘南キャンパスで開かれる同学会春季学術講演会で開かれる。
佐藤勝昭氏は応用物理学の「語り部」のような研究者である。 2000年にインターネットのWEBサイト「物性なんでもQ&A」を開設し、半導体・金属・光・磁性・結晶工学を中心とした応用物性に関する質問を幅広く受けて、適切な回答を迅速に掲載してきた。それらのQ&Aには索引を付けて、容易に調べたい項目にたどりつけるようにした。閲覧数も多く、2007 年以降でも60万件を超え、インターネット時代の理工系教育に先鞭をつけた。
この「物性なんでもQ&A」をコンパクトにまとめた連載記事は、応用物理学会結晶工学分科会の会誌 Crystal Lettersに毎回掲載され、2014年9月号の最終回まで22回を数えた。また、多くの書籍を執筆し、科学知識の普及に努め、応用物理学に興味をもつ若者や一般人の知的基盤の底上げに貢献してきた。
佐藤勝昭氏は1942年、兵庫県西宮市生まれ。京都大学工学研究科の修士課程を修了し、1966年にNHKに入局、放送科学基礎研究所に属して工学博士。1984年から東京農工大学工学部の助教授、教授、理事・副学長を経て、2007年から名誉教授。08年から科学技術振興機構の研究広報主監を兼ねる。画家でもあり、著書の随所に自らのスケッチを掲載している。