Teledyne LeCroyの日本法人であるテレダイン・レクロイ・ジャパンは2月9日、モータドライブ解析用オシロスコープ「MDA800」シリーズを発表した。

同製品は、従来製品の8チャネルデジタルオシロスコープ「HDO8000」シリーズのプラットフォームを用いており、8チャネル入力(オプションで16チャンネルのデジタル入力を追加可能)、12ビットの高分解能、2.5GS/sの高速サンプリング、1GHzまでの広帯域、250Mポイントまでのロングメモリをそのまま継承している。これに加え、幅広い規格に適合するシリアルデコード/トリガパッケージなどのソフトウェアオプションや多様な電圧および電流プローブ群も利用することができる。

一方で、モータドライブシステムは、三相パワーエレクトロニクスとモータ機械出力のアナログ/デジタルセンサ、組み込みコントローラを含む複雑なシステムで、アナログ信号やデジタル信号、シリアルデータ信号およびPWM(パルス幅変調)信号など多様な信号が混在している。従来の8ビットのデジタルオシロスコープでは、高速の組み込みコントローラの信号やパワーデバイスのスイッチング信号を捕捉することができる。また、パワーアナライザは、モータドライブシステムをブラックボックスとして入出力の電力および効率を計測する単機能の計測器で、信号波形の捕捉機能がないか、あっても組み込みコントローラやシステムのデバッグに用いるには能力が不足している。同製品の波形捕捉能力では、三相パワーエレクトロニクスの低速信号から個々のパワーデバイスのスイッチング信号、組み込みコントローラの高速デジタル信号までを1台で同時に捕捉/解析ができるので、システムのデバッグをあらゆる角度から多角的に行える。

さらに、同製品では、電圧、電流、電力(実効電力、皮相電力、無効電力)、位相、力率、効率などのさまざまな計測値が捕捉された電圧信号と電流信号から計算され、表形式で捕捉した信号波形とともに表示される。これらの計測値は、パワーアナライザで定常状態で計測されるものと相関が保たれている。これに加え、動的な動作においても解析が可能。表形式で表示されたパラメータを選択することで、そのパラメータの1周期ごとの値の時間変動グラフを作成することができる。この生成されたグラフは同時に捕捉された他の信号と時間相関を持っているので、システムの動的な振る舞いの正確な把握と、デバッグに威力を発揮する。そして、パワーアナライザと相関のある静的なパラメータ値と同時に、動的な変動解析ができる新機能により、システムの振る舞いのさらに深い解析を可能にする。

この他、同製品に搭載可能なロングメモリ(最大250Mポイント)を利用すると、今まで得られなかったモータ、モータドライブ、三相パワーエレクトロニクスの動的応答解析が可能になる。例えば、10MS/sで25秒間に渡って信号を捕捉することができるので、ドライブの動的な振る舞い、スタートアップ時、負荷急変動時、制御不全時、パワーコンバータ不良などを完全に把握することができ、デバッグすることができる。さらに、フロントパネルのボタン1つで呼び出すことができるZoom+Gate機能は、デバッグに非常に有用である。同機能では、全ての電圧、電流、メカニカルセンサやその他の信号を同時に拡大するが、表形式で表示されたパラメータ計測値および1周期ごとに計測されたパラメータ変動グラフがその拡大範囲で計算される。加えて、拡大率を変更したり、拡大範囲をスクロールすると、それに従いパラメータ計測値や変動グラフが更新されるので、不良の根本原因を突き止めるのに役立つという。

モータドライブ解析用オシロスコープ「MDA800」シリーズ