「IBM z13」

日本IBMは1月15日、米IBMが1月13日(現地時間)に発表した、同社のメインフレーム「IBM z13」の国内での発表会を開催した。同製品は10億ドルの投資を行い、5年の歳月をかけて開発した製品で、500以上の新たな特許を採用しているという。

z13は最大141コアで、111,556MIPS(1コアあたり1,695MIPS)の性能を持ち、最大10TBのメモリを搭載できる。これは、前モデル(zEC12)との比較で、プロセッサー処理能力は40%向上し、約3倍のメモリ容量、約2倍の帯域幅を持ち、1台で最大8,000の仮想サーバを稼働させることができるという。

z13で活用されているテクノロジ

さらにz13は、非構造化データ分析を可能にするためHadoopに対応。その他のアナリティクスの機能強化として、インメモリー・データベースであるDB2 BLU for Linuxによるクエリー処理のアクセラレーション、IBM DB2 Analytics Accelerator(DB2AA)の強化を行っている。そのほか、新たなテクノロジーとしては、同時マルチスレッド(SMT)の対応、KVMの新たなハイパーバイザーの採用、OpenStackの対応強化、障害予兆診断機能(zAware)のLinux対応、Open連携API(zConnect)、SMTに対応したデータベース専用エンジン、データ圧縮機能、暗号化プロセッサー性能を2倍以上強化、暗号鍵管理の強化などが行われている。

IBM DB2 Analytics Accelerator(DB2AA)

信頼性、セキュア、可用性の向上

Linux向けの機能強化

日本IBM 取締役執行役員 テクニカル・リーダーシップ担当 宇田茂雄氏

日本IBM 取締役執行役員 テクニカル・リーダーシップ担当 宇田茂雄氏は、「メインフレームはレガシーなシステムと思われているが、処理量は年々増えている。従来は勘定系の利用が多かったが、現在はオープン系のLinux、Javaでの利用するケースが増え、今後はCAMSS(クラウド、アナリティクス、モバイル、ソーシャル、セキュリティの頭文字)においてメインフレームの活用が重要になり、利用が増えていく。IBMはデータのあるところで処理することが効率的だと考えており、技術がそれを実現するレベルになって来た」と述べた。

そして同氏は、次世代のメインフレームを示し、そのキーになるのが人間の脳からヒントを得て開発中のニューロ・シナプス・チップだとした。

次世代のメインフレーム

ニューロ・シナプス・チップ

日本IBM 常務執行役員 システム製品事業本部長 武藤和博氏

日本IBM 常務執行役員 システム製品事業本部長 武藤和博氏は、「IBMは10年ぶりにメインフレームのブランド名を変更し、IBM z Systemsとした。IBMでは、CAMSSという言葉をよく使うが、z13はこういった新しい波のなかで、これまでのトランザクション処理だけでなく、クラウド、ビッグデータに対応したシステムだ。今ではインターネットに57億台のデバイスが接続され、トランザクションが急激に増えるという現象も発生する。顧客が3秒以内に応答しない場合、そのアプリを停止する割合は57%だ。これは企業にとって驚異だが、チャンスでもある。これらのトランザクションを分析することで新たな価値を生み出すことができる。そういった時代に登場したのがz13で、急増するモバイルからの要求にミリ秒で応答する。また、基幹業務、モバイル連携、アナリティクスを1台で実現できる究極のIT基盤だ。お客様の中にはコスト削減のためにダウンサイジングするという方がいらっしゃるが、ダウンサイジンが本当にコスト削減につながるのか疑問だ。z13のコストパフォーマンスはあがっており、TCOの面では、大きなメリットがある」と述べた。

武藤氏は、「z13は急増するモバイルからの要求にミリ秒で応答する」と語った

そして同氏は、z13の販売戦略として、デジタルテクノロジー(クラウド、アナリティクス、モバイル、セキュリティ)の強化、および、Linux on Z Systemの更なる推進を行うとした。

z13の販売戦略