2014年12月3日から5日にかけて東京ビッグサイトにて「SEMICON Japan 2014」が開催されている。今年は従来のような半導体製造装置と材料メーカーによる展示に加え、特別展「World of IoT」など様々な新たな取り組みに挑んでいる同展示会。そんな会場で、ひときわ人だかりができているブースが「ミニマルファブ技術研究組合」だ。

「ミニマルファブ技術研究組合」のブースの様子。人だかりで溢れかえらんばかりの盛況ぶりであった

同組合は、産業技術総合研究所が設立し、2012年度から3年間の研究開発期間にて、ハーフインチウェハを製造基板単位とした新たな半導体製造生産システムの実現を目指すことを目的としている。

一般的な半導体ウェハに比べて圧倒的に小さいハーフインチウェハ。当然、シリコンのインゴットも小さくなるし、搬送容器も小型化できる。また、通常、ウェハの搬送などに用いられるFOUPは25枚で1セットだが、ミニマルファブでは1枚ごとの搬送になるので、前のウェハの処理待ちでFOUP上でほかのウェハが待機するといった待ち時間も減らすことができるようになる

昨年のSEMICON Japan 2013ではクリーンルームがない会場にて、実際にPMOSトランジスタの製造を達成していたが、今年はPMOSとNMOSを組み合わせたCMOSトランジスタの製造を3日間の会期中に実現しようという試みを進めている。

プロセスとしては1μmと、現在の最先端プロセスに比べれば太いものの、まずは技術を確立させることが目的であり、これにより、日本はもとより、アジアでも東欧でもどこでも手軽に半導体デバイスを製造することが可能になる。電源も各装置ともにAC100Vを用いており、各装置の内部を局所的にクリーン化しているため、クリーンルームが不要となるため、究極な話をすれば、家庭内でもICの製造が可能となる。

ミニマルファブの各種装置の外観。外見上は各プロセスともに似たようなものとなっている。内部で特定のプロセス処理が行われ、また別の装置で別のプロセス処理を行うという流れになる

今回のCMOSトランジスタの製造はそうした夢の実現に向けた一歩であり、将来的には電子ビーム(EB)による直接描画などを活用することで微細化にも対応ができるようになるとのことであった。