東京都・谷中のSCAI THE BATHHUOSEでは、デフォルメしたポートレート作品などで知られるアーティスト、ジュリアン・オピーの新作個展「Street Portraits」を開催している。開催期間は12月20日まで(日月祝は休廊)、開場時間は12:00~18:00。入場無料。
「Street Portraits」と題された同展は、オピーが暮らすロンドンの雑踏の光景に加え、東京の賑わうストリートで無作為に撮影された人々の顔を題材にした新たなポートレイトのシリーズを、絵画、彫刻、映像作品として展開している。
今回の新作についてオピーは、「制作スタジオから外界を見渡して、いま世界がいったいどんな気分なのかを描写する現代の言語を探しています。これらの作品は、ロンドンと東京、二都市の街頭で集めたイメージを、LEDやビニール、アクリルをなど商業的なメインストリートでみられる画像生成技術と組み合わせて作りました。それは、原始時代から行われてきた人間の描写方法(顔のイメージを一瞬とめて記録するポートレイト)を、刻石やモザイク画、油彩ではなく現在の素材をつかって、そして象形文字からオールド・マスター、浮世絵、マンガまでに至るアート言語から抽出したかたちなのです」と説明している。
なお、ジュリアン・オピーは1958年ロンドン生まれのアーティスト。1980年代初期に芸術活動をスタートし、ユーモアと批評性をあわせもった彫刻作品でイギリスのアートシーンの寵児として注目されるようになる。90年代以降に制作された、BLURのメンバーの顔を単純化したアートワークや、街角で目にするサインやピクトグラムを想起させる人物像のシリーズなどで知られている。また、広重の風景画や歌麿の人物像を敬愛するオピーは日本にも関わりが深く、日本の風景を描いた作品が東京国立近代美術館に収蔵されているほか、電通本社の「歩く人」の彫刻、2008年の水戸芸術館での大規模個展などを通して、日本にもファンが多い。