佐賀県とスクウェア・エニックスのコラボレーションによるプロジェクト“ロマンシング 佐賀”など先鋭的なデジタルコンテンツを次々と送り出し、国内外の広告祭で多数の受賞歴を持つことで知られるクリエイティブ・ソリューションカンパニー 博報堂アイ・スタジオ。9月にそれまで豊洲本社と赤坂オフィスの二拠点に展開していたオフィスを有楽町に移転し、業務を集約して新たにスタートを切った。そんな同社がオフィス移転を記念したセミナーを11月26日から実施する。

同社デジタルソリューション2部のシニアプロデューサーの久樂英範氏

“i-CAMPUS(アイキャンパス)”と題して行われるセミナーは、隔週水曜日(一部変更あり)の夜に、毎回異なるテーマで各分野における同社のプロフェッショナルが登壇し、全8回・2015年3月まで行われる。企業のマーケティング担当者やウェブ担当者、ウェブ関連会社、クリエイティブ職志望の学生などが対象となる。セミナーの企画を担当する同社デジタルソリューション2部のシニアプロデューサー 久樂英範氏は「弊社が蓄積してきたデジタル領域の知見や、課題解決のノウハウなどをみなさまと共有し、ともに新たなイノベーションを創出していきたい」とその主旨を語る。

また、「有楽町や丸の内界隈は一流の企業が集まる一等地ではありますが、デジタルクリエイティブを生業としている企業というのがほぼない。有楽町の新オフィスはLabスペースを設けたり、テーマ別の会議室や表示サインなど、弊社のクリエイティブスタッフのこだわりが詰まっています。今回セミナーを開催するにあたって、空間としてのオフィスも含めてクリエイティブの現場に足を運び、今後につながるきっかけを持ち帰って頂きたいです」と話す。

続けて、オフィス移転を統括した同社経営管理部・部長の篠田朋広氏は今回の移転について次のように振り返る。

同社 経営管理部・部長の篠田朋広氏

「今まで2拠点に別れてしまっていた様々な職種、色々な個性を一箇所に集結させることで、コミュニケーションの最大化を図り、個々の働き方を変え、会社を成長させ続けることを移転の目的としました。それで移転先をどこにするかという話になった時、クリエイティブな会社ですので、落ち着いた場所よりもやはり刺激が得られる場所をということで有楽町が候補になりました。今弊社が入っている有楽町ビルヂングというのは大昔に博報堂のオフィスが入っていたビルなんです。有楽町というのは再開発が進みながらも東京の都心の古い街並みも残していて、新旧の文化が交わる品のある街ということで、実際に移転してみたところ、我々にとっても非常に新たな発見や創造性が生まれやすい場所だなと感じています。駅前の立地ですし、東京の西側に住んでいる社員にとってもアクセスがよくなったという利点もありました」

篠田氏によると、移転計画は実施まで半年という急ピッチで進められたという。さらに、限られた予算の中で高パフォーマンスを出すために、クリエイティブ企業ならではのアイディアが多数発揮されている。

前述のとおり、新オフィスの来客エリアにあたる5階フロアには“Labスペース”を新設。ガラス張りの空間で中には3Dプリンターや工具などまさに工房、アトリエさながらのクリエイティブの現場を来館者は外側から目にすることができる。また、“ファッション”、“エンターテイメント”、“インダストリー”、“ネイチャー”という4つのテーマに基づきそれぞれ特徴的な内装を施された会議室やバー&パーティースペースにもなる打ち合わせスペースが設けられるなど、そこかしこにクリエイティビティに溢れるフロアとなっている。

同社 システム開発部の榎本里美氏

一方、執務エリアとなってるのが8階で、集成板にクリア塗装で仕上げた特注品のワークデスクが多数並び、ありがちな無機質なオフィス空間でなく、温かみがあり、アットホームな雰囲気だ。「我々の職種は会社にいる時間がどうしても長くなってしまうので、まずは居心地のよさを大切にして、家にいるような空間づくりを目指しました。木の机はどうしてもやりたかったのですが結果的にはリーズナブルでいいものになりました。壁の塗装も社員と社員の家族を呼んで自前でやったんですよ」と篠田氏が明かすように、オフィス全体で“手作り”の温かみが感じられる造りだ。

さらに新オフィスで5階、8階ともに共通して特徴的なのがブースレイアウトだ。フロア内に長くて屈折した歩廊を巡らせ、フロア内を回遊することができる。5階はラボやセミナールームを取り囲むように廊下を設け、その外側に会議室や打ち合わせスペースがさらに取り囲んでいる。8階は両端に広く開放的なオフィススペースを設け、両側をつなぐように廊下があり、そのサイドをカフェのようなリフレッシュスペースが囲むという斬新なレイアウトだ。この独特な構造を採用した理由は「フロアをグルグル回ることで出会いが生まれます。そのことでスタッフ同士が話す機会が増えてコミュニケーションの向上につなげたかったんです」と篠田氏。同プロジェクトの一員のシステム開発部の榎本里美氏も「フロアのいたるところで会議や打ち合わせが行われています。ちょっとした進捗の確認がしやすくなったので、内線電話が激減しました」と狙いどおりの効果を語る。

こうした日本を代表するトップデジタルクリエイター集団の現場を実際に目に触れ、知見を共有できる絶好の機会となるのが、26日から開催されるi-CAMPUSだ。1日1講座・隔週水曜日の開催予定で、誰でも無料で受講できる。受講の申し込みは14日から同社Webサイト上で受け付ける。

新オフィスを写真で一挙紹介

撮影:糠野伸