それでは、今回のコンテンツを新しい順に紹介していこう。まずは、前述した舘博士や南澤准教授が現在行っている研究の1つである「HaptoMIRAGE」(画像6)を用いた「かざしてみよ」からだ。これは2014年の作品である。3D映像系は、両眼の視差を利用している場合、スチルだろうがムービーだろうが、カメラで撮影してもなかなか立体感をお伝えしにくいが、かろうじて地球が浮いている感じが出ている1枚を撮れたので、実際に足を運んで体験してもらうのが一番である。

HaptoMIRAGEの特徴の1つは、120度ぐらいの範囲内で3人同時(子どもなら詰めればたぶん4~5人でもOK)に裸眼で見られる立体映像であるという点だ。上下の角度的には、筆者の身長(182cm)だと、本来の位置だとどうも範囲外っぽいので、しゃがんだり中腰になったりする必要がある。

そして、ただ立体映像を見られるだけでなく、操作できるようになっている点も特徴の1つ。回転台を回してみたり、手をかざしてみたりすると、反応があるのだ。さすがに立体映像に直接触れて触感があるわけではないが、映し出されている地球などを自在に回せたりするし、さらに自分で3次元空間に自由に文字などを書くことも可能だ。なかなか裸眼で複数人が広範囲から見られる立体映像というのは限られているので、この技術は展示施設向きではないかと思うのだが、いかがだろうか。

画像6。HaptoMIRAGE。地球や恐竜などの立体映像が投影されるほか、空中に文字を描ける

続いては、こちらも2014年の作品となるが、「さがしてみよ」の「触感検索」(画像7)。舘博士が近年、力を入れている研究の1つが触覚である。聴覚、次いで視覚の順で誰もが知るようにメディアとしての長い歴史があり、どのように記録し、伝送し、提示するかという技術も定まっているが、触覚に関してはそれらがきちんと定式化されておらず、まだデバイスも多くない。高価なハプティック系のインタフェースも販売されているが、おそらく最も普及している触覚系デバイスといったら、近年のゲーム機の振動機能を備えたコントローラだろう。そうした中で、触覚を視覚や聴覚に匹敵するようなメディアに育て上げたいということで、舘博士は研究を進めているのである。

というわけでこの触感検索だが、その舘博士の触感に関する研究と、今や人類が手放せない技術の1つであるインターネットの検索機能を組み合わせたものである。ある素材があったら、それに似た触り心地の素材を検索してくれるというシステムだ。まだできたばかりのシステムなので、正直、触り心地の検索結果として表示される素材情報の種類が少ないため、どの素材を試しても検索結果の上位3位が似通ってしまう場合もあるものの、面白いのが「温感・冷感を切り離して完全に触感だけを扱っている」という点である。

要は、例えば金属は熱伝導率が高いので触ればひんやりと冷感があるし、布地の物は逆に温感が伴うわけで、イメージ的には金属と布地だったら触り心地は真逆のはず。しかし、温感・冷感を取り除いて純粋に触り心地だけで見ると、金属も表面処理がざらっとした状態であれば、思いの外、布地に似ているというわけだ。

触感検索では、サンプル素材が複数用意されているので好きな物を取って、それを一定の時間をかけて(2秒ぐらい)タッチペンで表面をなぞることでその凹凸を波形として記録し(画像8)、それに近い物を検索。そして、その波形に近い素材の上位3つを表示するというわけだ。前述したように、温感・冷感を取り除いての検索となるので、不思議な結果が出る。

ちなみに試しに貝殻を試してみたら、1位にタブレットの表面(画面のガラスではなくボディのアルミ)、2位にキャンバス、3位に黒いジーンズ、ということだった(画像9)。冷感と温感の差はあるが、ザラっとした感じは近い、ということのようである。動画1では、洗濯板に似ている物が検索されたのだが、ほぼ同じ結果になってしまった。でも、確かに表面のボコボコの感じは似ているかも知れない。

画像7(左):触感検索。右が検索作業と結果を表示するためのモニタと、素材の表面の凹凸を記録するためのタッチペンで、左はサンプルの素材。画像8(右):ホタテ貝の貝殻の表面は、どんな素材と似ているのか? 表面の凹凸を記録し、検索開始

画像9。結果、1位がタブレットのアルミの表面、キャンバス、黒いジーンズと出た
動画1。触感検索で検索をする様子