米Dellの買収により、同グループ企業の一員となったDell Software。買収後の現状やグループ内における役割、今後のビジョンなど気になる部分について、Dell Software Sales, Marketing and Svcs Global Vice President&General ManagerのDave Hansen氏、そして日本法人であるデル・ソフトウェア 代表取締役社長の中村共喜氏に話を聞いた。
本題の前に、Dell Softwareの設立経緯について簡単におさらいしておきたい。まず、2011年1月14日に米Quest Softwareが米BakBone Softwareの買収を完了。そして2012年9月28日、米Dellが米Quest Softwareの買収を完了した。これに伴い、日本法人の日本クエスト・ソフトウェアも2013年2月1日にデル・ソフトウェアへと社名変更を行っている。
Dell Softwareは、Dellグループにおいてシステム管理/セキュリティ/ビジネス・インテリジェンスなどに関するソフトウェア分野を担う企業だ。ただしDell専属というわけではなく、ひとつのソフトウェア開発企業として独立したビジネス展開を行っている。
これについてHansen氏は「弊社はDellグループの一員ですが、ビジネスとしては親会社のDellに特化するわけではなく、あらゆるベンダーに対して中立的な立場で取り組んでいます。買収前からのパートナー様についても、もちろん継続してお付き合いをさせていただいています。確かに従来は、さまざまなポイントプロダクトを持つ"集合体"になっていたかもしれません。しかし、現在はこれまで培ってきたものを上手く統合するような開発体制を整えると同時に、ポートフォリオの充実に向けて新たなビジネス展開を加速しています」と語る。
一方で、同社にとってDellグループの一員であるメリットも大きいという。
「Dellのハードウェアは非常にクオリティが高く、インプリメントしやすいという認識があります。また、ハードウェア/ソフトウェア/サービスを提供するグローバル企業としてもチャンスに恵まれており、さらなる規模拡大が期待できます。弊社としても、このDellグループでビジネスを展開できるのは大きな誇りです」とHansen氏。
さらに、Dellを経由することによるビジネスチャンスの拡大効果もポイントで「ソフトウェア企業の顧客数は大手でも1万~5万ですが、デルはすでに数百万の顧客を有しており、今後も新規顧客が増加していきます。そうした意味で、弊社のパートナー様とは別にDellのハードウェアグループ経由でも市場へアプローチできるという、複数のルートがあるのは大きな強みとなります」と続けた。
データプロテクションやセキュリティを軸にビジネス基盤を構築
それでは、Dell Softwareは日本市場をどのように捉えているのだろうか。
Hansen氏は「弊社にとって、日本市場は非常に重要なポジションにあります。日本には、これまで長くお付き合いいただいているパートナー様が数多くいるため、そうした意味でもプレゼンスを活かしてビジネスを展開していきたいですね。日本市場で特に今後注力したいのは、セキュリティ/データプロテクション/Windowsマネジメント/Windowsマイグレーションといった分野です」と語る。
これに対して、日本法人であるデル・ソフトウェアの現状と対応を聞いてみたところ、中村氏は「私が代表取締役社長に就任した7月中旬頃までは、まだ複数の企業がマージされて同じオフィスにいるだけ、という状況でした。これは、現状維持でビジネスを継続できる反面、デル・ソフトウェアとしてのアイデンティティがあまり確立していないともいえます。弊社としてはこの状況を打破し、米Dell Softwareと同じようにビジビリティを出していきたいと考えています」と答えてくれた。
注力分野についても、ただ闇雲にリソースをつぎ込むわけではない。
中村氏は「ハードウェアビジネスとの大きな違いは、ソフトウェアビジネスの場合はいわゆるプリセールスからデリバリーまで含めて、エンジニアリングが不要な売りきりの製品がひとつもないことです。一口で情報管理やシステム管理、セキュリティといっても非常に幅が広いため、そうした意味では最初からすべてを網羅しようとするとリソースがいくらあっても足りません。どこで基盤となるビジネスを作るかが重要ですね」と語る。
そこでまずは、買収前から手がけているデータプロテクションや、セキュリティ関連ではSonicWALLのポートフォリオを中心にビジネス基盤を構築し、徐々にその他の領域へと拡大していくという。
「デル・ソフトウェアといえばデータプロテクションはもちろん、システムマネジメントとセキュリティマネジメントに強く、情報管理のマネジメントソリューションも持っている、というイメージを数年後にお客様が抱いてくれればありがたいです」(中村氏)