宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9月30日、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」で、9月27日に噴火した御嶽山山頂付近の緊急観測の画像を公表した。9月29日に、噴煙を透過して火口の状態を観測できるLバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)で撮影した画像で、噴火によって発生したくぼみや降灰堆積の様子がわかる。

写真1. だいち2号による御嶽山山頂付近の噴火前後の比較画像。左が噴火後、右が噴火前。黄色○で囲まれた部分に噴火前にはなかった窪地が認められる。(提供:宇宙航空研究開発機構)

噴火前の8月18日に観測した画像と、噴火後の9月29日に観測した画像を比べると、噴火前にはなかった長さ210m、幅70mほどのくぼみができている様子を捉えた。これは、今回新たに形成された噴出口(火孔)とみられる。

写真2. だいち2号搭載のPALSAR-2による御嶽山山頂の降灰堆積(紫に見えるところ)。観測は右向き(西から東)に行った。(提供:宇宙航空研究開発機構)

また、8月18日と9月29日の御嶽山山頂部を同じ軌道から観測した画像の変化を抽出して、変化した地域を紫に色付けしたところ、御嶽山山頂の火口の周辺に降灰の堆積が多く分布する様子が浮かび上がった。

この観測は、JAXAと防災関連機関との間の、災害に関する衛星情報提供協力で、火山噴火予知連絡会(事務局・気象庁)と内閣府(防災担当)からの要請を受けて実施し、噴火前後の地形変化や降灰状況の確認などのためにデータを提供した。引き続き防災関連機関と連携しながら、御嶽山の観測を継続する計画だ。だいち2号は今年5月に鹿児島県・種子島宇宙センターからH2Aロケットで打ち上げられた。