富士ゼロックスは7月2日、人の視覚特性に基づいて、画像データの色や形状などの"質感"を制御することで、直観的に特定領域の印象を変化させたり、望みの色に加工できる画像質感制御技術を開発したと発表した。
同技術は、タブレット端末やタッチモニタなどの画面に表示された画像データを、指でなぞるだけで簡単に切り出すことができ、切り出した特定の領域を望みの色や質感に変えたり、切り出した画像を他の画像に合成することが可能になる技術で、画素データの境界を独自の技術で判別することにより実現した。また、見本画像の特性を元画像に転写する技術により、画像全体の印象を一致させたり、画像領域ごとに個別に印象を一致させることもできる。
このような、"質感"の変化は、人の視覚の認知特性に基づいた視認性向上の処理や形状の強調を行うことで実現しているという。これらを実現するために、独自の周波数帯域解析や暗部解析も行っており、人が画像中の特定の物を知覚するにあたって自然な再現を可能にしている。これにより、車や住宅の塗装などのカラーデザインを検討する際、複数の領域の色を複合的にシミュレーションすることができる。例えば、車の外装と内装の組み合わせや、自宅の写真データをもとに屋根と壁の塗装の色の組み合わせなどを、簡単にシミュレーションできる。また、化粧品売り場で購入希望者の顏写真データを取り込んで、肌と口紅のそれぞれの色を、同時にシミュレーションできるため、好みの色の組み合わせを簡単に選ぶことができる。
近年、"質感"を認知する脳の働き(質感知覚)が新たな研究分野として注目されており、同社では、画像の視認性、輝度の周波数帯域、色特性を統合した視覚特性が"質感"を再現するために重要な要素であると捉え、今後も"質感"に着目した研究を進めていく。また、同社のユーザーである共創ラボラトリーなどを通じて、ユーザーとともに活用シーンを具現化しながら、実用化に向けた取り組みを行っていく予定とコメントしている。