東京エレクトロン デバイス(TED)は6月17日、英XMOSと販売代理店契約を締結し、リアルタイム性能の高いマルチコアマイコン製品の取り扱いを開始したと発表した。
XMOSは、2005年7月に設立されたファブレスのマイコン専業メーカーである。特徴的なマルチコアアーキテクチャによるリアルタイム性能と競争力のある価格により欧州を中心に注目を浴びており、民生、産業、自動車(カーインフォテイメント)機器分野で200社以上の採用実績、および2014年6月現在で100万個以上の出荷実績を有している。日本市場では、USB Audio Class 2.0、PCM 24bit/384Ksps、DSDオーディオに対応したハイレゾリューションオーディオ機器の分野で実績があり、2013年11月に日本オフィスを開設し拡販活動を行ってきた。
XMOS独自のxCORE 32bit RISCコントローラは、独立して動作する4~16個におよぶ複数のロジカルコア、超低遅延の入出力ポートであるハードウェアレスポンスポート、各ロジカルコア間を結ぶ高速インタフェース「xCONNECT」、スケジューラ、内部RAMなどで構成されているイベントドリブン型のマルチコアマイコン。各命令を割り当てられたコアにダイレクトに処理させることで、リアルタイムOSを必要とせずに、各種の処理を実現できる。
そのため、シンプルで分かりやすいプログラミングが可能なのに加え、複数の処理を各ロジカルコアが独立・並列して実行するため、割り込み処理による遅延がなく処理の実行時間を確定した使い方が可能。また、10nsecの高速な応答時間を実現するハードウェアレスポンスポートは、無償のソフトウェアライブラリ「xSOFTip」により、GPIO、PWM、SPI、I2S、他のさまざまなI/Oとして柔軟な設定が可能。さらに、Eclipseベースの開発環境でC/C++、XC言語による開発ができるなどといった特徴を有している。
これらのコアは8コアを500MHzで動作するタイル1枚として構成されており、コア数により動作周波数を分割する形で処理が行われる。また、2014年夏には1コアをCortex-M3に割り振った「XA」シリーズの提供も開始する予定としている。
なお、XMOS製品は、TED関連会社であるパネトロンが取り扱う。