プロポーションづくりのダイアナが、3月からウィッグ事業の本格展開を開始することになった。同社は補整下着や化粧品、栄養補助食品などを通じ、"美"を提供する「女性美のトータルビューティソリューションカンパニー」。頭の先から足のつま先まで、理想の美を追求するための総仕上げとして、新たにオーダーメイドウィッグ「ディアンジェ ウィッグ」を提案する。

ダイアナが新たに展開するオーダーメイドウィッグ「ディアンジェ ウィッグ」

「ディアンジェ ウィッグ」を取り扱うのは、ダイアナが全国で展開している約800のサロン。これにより、大手ウィッグチェーンの2倍以上という店舗数を有する日本最大級のウィッグ販売網が誕生する。ウィッグ事業への新規参入にあたり、同社ならではの強みが発揮された形だ。アドバンテージとなるのはそれだけではない。「ディアンジェ ウィッグ」は14~16万円と、一般的なオーダーメイドウィッグの半分以下という低価格も実現しているのだ。

女性顧客の髪の悩みが、ウィッグを手がけるきっかけに

これまで、おもにボディのプロポーションメイキングに携ってきたダイアナだが、なぜウィッグ事業に参入するのだろうか? 「低価格 / 高品質オーダーメイドウィッグ」の開発に成功した理由なども含め、ダイアナ代表取締役社長の徳田充孝氏に話を聞いた。

ダイアナ代表取締役社長の徳田充孝氏

ウィッグ事業を展開するきっかけは、髪の悩みを持つ女性顧客が多かったことだという。ダイアナの顧客は20~70代と幅広く、サロンに長く通う割合が多いのは40代以上で、「その年代の女性は髪の悩みを抱えている方々も多い」と徳田氏。ダイアナ公式Facebookページで行った「お悩み部位アンケート」でも、「髪」は「お腹」に次いで第2位という結果に。

徳田氏によれば、ウィッグ事業を始めるにあたり、反対意見もあったそう。女性のプロポーションづくりをコンサルティングしてきたダイアナが、体の変化を促すのではなく、「着ける」ものを提供することに対し、抵抗も多かったようだ。それでも、「多くの女性が髪に悩みを持っているため、必要であると判断した」と徳田氏は語る。2012年9月から、ウィッグのテスト販売を開始した。

その結果、2013年12月までの16カ月間で約6,000個を販売するという、予想をはるかに上回る実績を上げ、今回の本格参入へとつながった。テスト販売での購入者の中には、「髪に悩んでいたが、ウィッグのお店に行くのは勇気がいる」という人も多かったようで、「ダイアナサロンだからこそ、気軽にウィッグを試せて悩みを解決できた」といった声が寄せられたそう。ウィッグ事業において、サロンの存在がもたらすメリットは大きかったことがうかがえる。

もうひとつ、販売成功の要因として挙げられるのが、「低価格 / 高品質オーダーメイドウィッグ」の商品化を実現したことだ。品質に関しては、30年以上にわたってウィッグ開発に携わる専門家と協力。きめ細やかな採寸を行い、熟練の職人が1本1本手植えする製造法で、自然な仕上がりを徹底した。徳田氏によれば、「ウィッグ業界では、理美容室の技術者とサロンがなければ不可能といわれてきたが、採寸シートと画像をもとに、経験豊富な技術者がスタイリングを行うことで低価格化を実現できた」とのこと。

さらに、専用アプリを活用した受注や独自の採寸シートを開発することで、コストも削減している。「同業他社のように、テレビCMをはじめとする宣伝広告費にコストをかけていない」(徳田氏)ことも、「低価格 / 高品質オーダーメイドウィッグ」の実現に大きく役立った。「つむじ用14万円」「全体用16万円」など、タイプごとに商品価格が一律であるところもユニーク。オーダーメイドにもかかわらず、髪の長さや毛量が異なっても価格は変わらない。「明朗会計で購入しやすい」との声も届いているそうだ。

ウィッグ事業を皮切りに、将来に向けた新しい取組みが始まる

ダイアナが設立されたのは1986(昭和61)年。同社は現在、創業30年目に向けた3カ年計画「エボリューション30」を始動し、さまざまな改革に取り組んでいるところだ。

ウィッグ事業への参入もその一環で、補整下着によるボディのプロポーションメイキングに加え、化粧品で顔を、そしてウィッグで頭を……、というように、全身のプロポーションづくりのためのメソッドを構築しようとしている。「『トータルビューティソリューション』が私達の使命」と徳田氏は語り、ウィッグ事業も、「頭の先からつま先まで、全身のプロポーションづくりに必要」と説く。

ウィッグ事業においては、将来、医療用ウィッグの開発を通じた社会貢献活動も考えているという。これは同社が提唱する「上向き」というキーワードにも関係している。

都内のダイアナ本社。ウィッグ事業の本格展開を皮切りに、創業30年目に向けた3カ年計画を進める

「上向き」とは、ツンと上を向いたバストやヒップといった理想のプロポーションであり、「上向きの外見」を手に入れることで生まれる「上向きな内面」、つまりプラス思考や前向きな姿勢、といった概念をさす。ウィッグに関しても、根元からふんわりと立ち上がる「上向きのヘアスタイル」の実現をサポート。これで髪の悩みを抱える女性の気持ちも上向きになるはずだ。

同社は販売窓口のさらなる拡大をめざし、人材育成の強化も掲げている。「ダイアナユニバーシティ構想(仮)」と呼ばれる構想もあるそうで、教育事業に着手し、サロン経営者を育成してサロンを増やすだけでなく、美容業界で活躍できる人財創出をめざして、「学校展開も視野に入れている」(徳田氏)とのこと。また、一般の理美容室でのウィッグ販売も視野に入れ、理美容師に対しても研修を行いたいと考えているようだ。

なお、4月には東京・大阪の2カ所で、サロン開業に興味を持つ女性に向けて、女性のための起業応援セミナー(無料)を行うという(東京は4月6日にベルサール神保町アネックスで、大阪は4月13日に大阪国際会議場で開催予定)。「当社では、女性の独立支援をサポートし、これまでに800名以上の女性経営者を輩出してきた。光り輝く人生をめざす方々にとって、新たな未来への扉を開く機会になればと考えているので、ぜひ気軽に参加していただきたい」と徳田氏は述べた。

プロポーションづくりのダイアナがウィッグ事業へ参入するのは、創業30年目に向けて、さらにはその先の将来に向けて、時流に沿って改革に取り組む同社の企業姿勢を浮き彫りにしたといえるだろう。