仏Dassault Systemsの日本法人であるダッソー・システムズは2月28日、同社の事業戦略に関する記者説明会を開催し、代表取締役社長の鍛治屋清二氏が登壇した
代表取締役社長の鍛治屋清二氏(中央) |
冒頭に同氏は、2013年の全世界での新規顧客数が1万9000社、新規パートナーが525社増加したと業績が好調であったことを説明。世界中を含めた業績は明かされなかったが、日本市場は3D CADソフトのSolidWorksの販売好調などで売上高が390億円、「日本市場の全体の売上げのうちSolidWorksが25%を占める」と述べた。経済誌のForbsの特集「世界で最も革新的な企業トップ100」2013年版でDassault Systemsは全体で31位、ソフトウェア部門で3位だったという。
同氏は、今後の戦略として重要なテーマが「ソーシャル」と「インダストリ」の2つであることを強調した。
ソーシャルで重要なのが「3DEXPERIENCEプラットフォーム」だ。これは、同社のソーシャル&コラボレーティブ、モバイルアプリケーションなどの機能を持つアプリケーションによって構成される製造業向けの開発プラットフォーム。同氏は、日本国内での3DEXPERIENCEの認知度があまり高くないことを述べた上で「ダッソー・システムズは2000年頃にPLM(Product Lifecycle Management)の概念を提唱した。当時は馴染みのない用語であったが、現在は製造業界での重要なキーワードとなった」と述べ、過去の実績から今後3DEXPERIENCEの普及に自信をみせた。
一方のインダストリの核となるのが販売戦略である「インダストリーソリューション・エクスペリエンス」だ。これは、産業を航空宇宙、自動車、ハイテク、船舶など12個に分類しそれぞれに適した販売戦略を行うというもの。例えば3D CADソフトを使って製品を設計する場合、自動車産業とライフサイエンス産業では使い方が大きく違うという。産業別の分類をよく理解することで販売戦略の方向性を定めている。
また、2014年からは新たに地域ごとの販売戦略「GEO(Geometric)」を提唱。GEOは世界の地域を独自に定めた12のグループに分け、グループごとに販売戦略を行うというもの。インダストリーソリューションとGEOを組み合わせることで、より的確な販売戦略を行えるとしている。
最後に現在買収を進めている3DCGやCGIなどを製作する独RTTについて説明した。RTTはセールス、マーケティング、テレビコマーシャルなどを製作しており、日本国内でも20社ほどの顧客がいる。同社はこれまで製造業に関わるソフトウェアのプラットフォームを開発・販売を中核にビジネスを行ってきたが、新たな発展としてコンテンツの製作を検討しており、その前段としてRTTを買収したとしている。買収後の具体的な方向性はまだ明かされていないが、RTTが同社のビジネスの幅を広げるカギとなるであろう。