Wind Riverは2月26日(独時間)、IoT(Internet of Things)が創出するであろう新たな市場機会に対応するために、自社のリアルタイムOS(RTOS)「VxWorks」を刷新し、次世代バージョン「VxWorks 7」を発表した。
同バージョンでは、従来の航空宇宙、防衛、メディカル、インダストリアルといった市場におけるユーザーの主導権強化が図られたほか、IoTが実現するであろう新たな応用分野への参入の支援も行われているという。
具体的には、新たにモジュール性の高いアーキテクチャで再構築しなおし、VxWorksコアOSとファイルシステムやネットワークスタックなどのパッケージに分離された。これにより、システム全体の手直しや再テストの必要なしに、個々のアプリケーションをいつでも更新することが可能になり、市場の変化に迅速に対応できるようになったとする。
VxWorks 7で搭載された新機能と強化点は以下のとおり。
- モジュール性:新たなモジュール化により、システムコアを変更せずに、対象を絞った効率的なアップグレードをパッケージやプロトコルに適用可能に。テストや認証更新の手間を最小限に抑え、カスタマのシステムを先端テクノロジ上で維持することが可能となった。
- セキュリティ:セキュアなデータストレージ、耐タンパ性設計、セキュリティ対策を施したアップグレード、Root of Trust、ユーザおよびポリシーの管理など、 包括的なセキュリティ機能を搭載。
- 安全性:医療、産業、輸送、航空宇宙分野向けに安全性が求められるアプリケーションで急増するニーズに対応する機能を強化。
- 拡張性:マイクロカーネルと標準カーネルを組み合わせて、同じVxWorksプラットフォーム上に構築することで、スモールフットプリントのコンシューマ向けウェアラブルデバイスから大型ネットワーク機器まで、さまざまなタイプのネットワーク対応デバイスで共通のRTOS基盤を利用し、開発やメンテナンスのコストを削減することを可能にした。
- コネクティビティおよびグラフィックス:さまざまな規格やプロトコル(USB、CAN、Bluetooth、FireWire、コンティニュアなど)に加え、即使用可能で高パフォーマンスなネットワーキング機能をサポート。グラフィックス対応プラットフォームとして、効率に優れたOpenVGベーススタック、ハードウェア支援型グラフィックドライバ、Tilconグラフィックデザイナツールを搭載。
また、同社は併せて、VxWorks用開発ツールスイート「Wind River Workbench」の強化も実施したという。今回のバージョンでは、先端のSystem Analysisのパッケージが含まれており、これを利用することで、コードやシステムの振る舞いを即座に詳細に知ることができるようになり、開発者はコードの最適化、バグ、メモリリーク、インターロックなどを手軽に見つけ出すことが同時に行えるようになるとしている。