レイヤーズ・コンサルティングは2月26日、シンガポールの子会社「レイヤーズ・コンサルティング シンガポール」を設立し、2月より業務を開始したことを発表した。

ASEAN地域にはすでに多くの日系企業が進出をしているが、成功するのは困難を要する。その理由の1つに、現地での経営スタイルがあげられる。言葉・宗教・通貨など、ASEAN地域における多様性は世界でもトップクラスである。その多様性と融合して利益を生み出すためには、融合のコアとなるASEAN型マネジメントのベストプラクティスの明確化・共有化が不可欠だ。しかしレイヤーズによれば、国内ビジネスモデルの安易な導入や現地企業との提携・合弁による現地任せの経営スタイルを踏襲している日系企業が多く見受けられるという。

レイヤーズでは、日本経済が回復基調になった今こそが、ASEANに拠点を持つ日本企業がASEAN市場と正面から対峙する最適な時期だと判断しており、日系企業の再成長と業務改革を現地密着型で支援するため、シンガポール現地法人を設立したという。

レイヤーズ シンガポールは、"日系企業のグローバル化の促進"をミッションとして、日本本社のレイヤーズと緊密な連携を取りながら、ASEANに進出している日系企業の本社チームと現地プロジェクトの両方を支援し、ASEAN地域の特性を生かした最適な事業モデルの構築とビジネスゴールの達成に貢献する。主なコンサルティングサービスは、製造業向けのサプライチェーン/コストマネジメント、地域・事業子会社に対するガバナンスを最適化するグローバル経営管理、現地市場に対するマーケティング戦略策定、ASEAN統括会社及び地域支社に対する業務改革(営業、生産管理、本社機能)となる。

レイヤーズ シンガポールの社長に就任した村田俊博氏は、次のように述べている。

「営業や生産管理の業務改革プロジェクトを例にとると、日本でのプロジェクトと比較して、ASEAN地域では業務プロセス自体の改革のみならず、業務を実行する担当者の意識を変えていくことが大変重要だ。

当社の経験上、『意識を変えてください』と言い続けて担当者の意識が変革されることはない。担当者が『経営理念・業務の目的』に『納得』し、『行動』して始めて『意識が変化』していくが、日系企業は『経営理念』はあるものの、業務に対する『納得』を醸成し、『行動』を促進する仕組みが欠けているケースが多く見受けられる。

ASEAN各国においては文化が異なるため、仕組みの伝え方や浸透のさせ方も異なる。各国の方々に対するリスペクトの気持ちを元に、国や民族そして組織に合わせて異なるアプローチをとる必要がある。これらの意識改革の仕組みの構築や浸透においては、日系企業に対する30年のコンサルティング実績を基にした強力な支援が提供できると確信している」