LINEは2月26日、公式アカウントのAPIを開放して各企業に提供する「LINE ビジネスコネクト」を発表した。なお、同日にはLINEから携帯・固定回線への通話が可能になる「LINE電話」も発表されている。

LINE ビジネスコネクトは、従来の企業公式アカウント運用における一方通行の情報配信から、「企業と人とのライフチャンネルになる」(LINE 執行役員 法人事業担当役員 田端 信太郎氏)ために提供される双方向のコミュニケーション基盤となる。

LINE 執行役員 法人事業担当役員 田端 信太郎氏

田端氏によると、これまで「LINE 公式アカウント」は大手企業を中心に100社以上の利用実績があり、ユーザー側ものべ3億5000万ユーザー、1人あたり平均7社のアカウントフォロー数に達するという。

企業公式アカウントのフォロー数は順調に伸びている

また、アカウントフォロー数だけではなく、O2Oソリューションとしても優れた存在であることを田端氏はアピール。

「一概に言える話ではないが、LINEユーザー5000万人にクーポン利用率3割を掛け合わせると、クーポンの実利用者数は1500万人に達している。電車待ちや電車内で送られてきたクーポンを確認して、帰る途中などにお店に立ち寄るという利用シーンが普段の行動にマッチしている。この利用率などを考えても日本No.1のO2Oマーケティングツールだと思う」(田端氏)

クーポン利用率も3割に達する(マクロミル調査)。これは、Eメール開封率が10%にとどまることに対してマーケティング上で大きなアドバンテージになっていると田端氏は説明する

LINE ビジネスコネクトは、こうしたこれまでのクーポン配信だけではなく、LINEのAPIを顧客企業に開放して、企業が既存顧客DBやCRMと連携させることでビジネスの広がりを持たせることが目的となる。

このLINE外との連携の際にはLINE内にマーケティングデータが渡されることはなく、顧客企業が自由にAPIを利用することができるという。特定ユーザーに対する最適化したメッセージ配信も可能になる。提供されるAPIは、ユーザーから企業側に送られるテキストメッセージやスタンプ種別、現在地情報などとなる予定。

また、ここまではマーケティング活用の面が強調されていたが、田端氏によると、社内インフラや業務ソリューションとしてもLINEを活用してもらいたいという。

「人と企業の関係は消費者だけではなく、企業内で働く社員やアルバイトとの関係でもある。アルバイトのシフト管理や社内報のイントラ、営業マンの日報ツールとして、すでに利用者が多いLINEを活用してほしい」(田端氏)

なお、こういった一般的な活用例だけではなく、発表会の中ではLGが家電制御にLINEを利用する例や、テレビ局とタッグを組んだ視聴者参加型企画といった例も紹介していた。

LGのLINE ビジネスコネクト活用例。テレビに対する画像送信以外にも、自動掃除ロボットへや冷暖房のコントロールもLINEのテキストメッセージを通して利用できる

テレビの視聴者参加型企画はメッセージがテレビに簡単に送れるといった用途を想定している

ほかにもピザの注文をLINEスタンプで送信するといった様々な利用用途を提案していた

まずはフルオープンにするのではなく、すでに公式アカウントを持つ大手企業や公共団体などで事例を積み重ねてLINE ビジネスコネクトを提供していくとしている。ただ、いずれは「LINE ビジネスコネクトだけ利用したいという企業にも提供していきたい」という。