最近良く聞く「グロースハック」という言葉、あなたは正確な意味が分かりますか?なんとなく分かっているつもりの今どきマーケティング用語を、SMMLabがやさしく解説します!
用語説明:【グロースハック(Growth Hack)】
製品やサービスを利用するユーザー動向データから得た数値やフィードバックなどを解析し、製品・サービス自体の改善を迅速に繰り返して、マーケティングの課題を解決する手法。
2010年にアメリカQualaroo社CEOショーン・エリス氏によって提唱された「グロースハッカー」という職種が元となって生まれた言葉。
参考記事:
Find a Growth Hacker for Your Startup(2010.7.26)
http://www.startup-marketing.com/where-are-all-the-growth-hackers/
上記記事翻訳:
あなたのスタートアップに必要なグロースハッカーを捜そう
http://growthhacker.jp/post/35602525906#.UwUWlnd_vL0
解説
アメリカでは近年、ツイッター、フェイスブック、ドロップボックスなど、たった数年で数億人のユーザーを獲得して急成長したサービスには、必ず「グロースハッカー」と呼ばれる技術者がいました。昨年頃から日本でも「グロースハッカー」による成長施策=グロースハックが注目されています。
具体的には、サービスや製品を利用するユーザーの動向データを元に、成長を妨げている要因を分析し、短期間で複数の”改善策”を施すことで、より多くのユーザーを獲得したり、収益を向上させたりして、企業に対して最終的な成長(Growth)を目指します。
グロースハックの手順
- 現状を計測する
- 分析・仮説立てする
(データによって、製品を使っているユーザーについて理解する) - 優先順位をつける(目標達成に影響度の高そうな課題から取り組む)
- デザインする/作文する(機能、UX、UI、文章)
- 実装する
- 効果を計測する
グロースハックは基本的には以上の6つの手順によって進められますが、そもそもまず最初に製品やサービスが、しっかりとProduct Market Fit(PMF)出来ているかを検証する必要があります。グロースハックは成長を加速するための施策ですので、製品・サービスが提供する価値(Value Proposition)が市場のニーズにマッチしていることが、絶対的な前提条件になります。
「グロースハッカー」提唱者のショーン・エリス氏は、PMF見極めのポイントとして、「その製品が無くなったら?」という問いに「非常に残念」と答えるユーザーが40%を超えていることをあげています。
AARRRモデルによる目標到達プロセスの分析
次に製品・サービスに定着したユーザーの利用動向を5つの要素に分けて、どのプロセスに問題があるのかを判別します。
・Acquisition(ユーザー獲得:登録や訪問などを増加させる)
・Activation(ユーザー活性化:ユーザーの利用体験の向上させる)
・Retention(継続:ユーザーが繰り返しサービスを使うようにする)
・Referral(紹介:ユーザーがサービスを友人・知人に紹介するようにする)
・Revenue(収益:ユーザーがより多く課金行動を取るようにする)
AARRRの分析モデルは先に進むにつれて細くなるファンネル状であると考えられますが、その先細りを出来るだけ抑え、ボトルネックとなる課題を突きとめて、それらの改善策を検討します。
1人のユーザーが何人のユーザーを新たに連れてくるか、新たに連れてきたユーザー数÷1人のユーザー = バイラル係数が「1」を超えていれば、利用者は確実に増加していくため、グロースハックでは特に「Referral」を重視します。「Referral」においては、既存のチャネルと合わせてソーシャルメディアをいかに活用するかも大きなポイントとなります。
グロースハック成功の鍵はテクニックよりマインド
グロースハックでは、A/Bテストによる遷移率向上やユーザーテストによる離脱ポイント改善など、今までWEBサイト改善等にも利用されていた手法も使われますが、製品やサービスが出来上がった後のPRやマーケティングだけではなく、ユーザーからの定量的、定性的なフィードバックに基づいて、製品・サービス自体もどんどん変化させ進化させていくのが、既存のWEBマーケティングとの大きな違いです。
ユーザー動向の分析や施策効果の検証など、データ主導で進められていく側面が大きいため、現状は技術的な手法に注目が集まっていますが、「問題点を明らかにし、障壁を取り除き、行動しやすくする」だけではなく、その行動の原動力となるユーザー心理の理解や動機の強化という点で、マーケティング的な視座が重要となります。
ですから、プロダクトマネージャー、エンジニア、UI/UXのスペシャリスト、デザイナー、マーケティング担当など、これまでは役割分担されていた担当者が連携し、自社の製品やサービスのユーザーを深く理解し、そのニーズを満たすことに徹底的に注力するというマインドを共有することが、グロースハックを成功させる一番のポイントだと言えるでしょう。
イラスト
速瀬 みさき
1993年よりホラー誌デビュー。漫画家として活動しながらエッセイ、イラスト、デザインなども手掛ける。近著コミックスは、メイド喫茶にバイトで潜入取材漫画。広告代理店勤務の夫を持ちながらも、マーケティングなにそれ?状態で執筆中!
公式サイト : http://www.nanacom.com/
Facebookページ : http://www.facebook.com/hayase.mi
用語解説:ソーシャルメディアマーケティングラボ
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