横河メータ&インスツルメンツは、高精度電力計と波形測定器の長所を併せ持つ電力測定器「プレシジョンパワースコープPX8000」を発表した。
太陽光・風力発電をはじめとする再生可能エネルギー関連機器、自然環境に配慮した電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)、家電製品などの開発では、エネルギー効率のさらなる向上が急務となっている。これらの機器・装置の省エネルギー化の鍵となるインバータには、変換過程における電力損失を抑えるために、より精密に制御して無駄を減らすことが求められている。これに対し、電力測定器には、起動時や入出力急変時など多くの電力を必要とする状況での瞬間的な電力値の推移(過渡電力)を正確に測定できることが求められている。そのため、信号を収集する周期(サンプリング周期)をさらに短くすることが必要となってきた。「PX8000」では、高速かつ高分解能のアナログ/デジタル変換器を採用することで高速サンプリングを実現、オシロスコープ並みの高周波測定を可能とした。
具体的には、従来機種の20倍となるサンプリング速度100MS/sを実現。従来機種では難しかったワイヤレス給電器、インバータの昇圧回路部品などの高周波信号で駆動される機器の電力測定ができる。さらに、従来の電力計は一定時間の電力の平均値を演算で算出しているが、「PX8000」は捕捉した波形データを内部メモリに保存することで、任意の時間の電力変化を詳細に解析することが可能。加えて、起動時や入出力急変時など高速に変化する過渡電力を測定することができる。また、電流プローブなどの外付けセンサを使用する場合、センサの内部回路の影響で入力信号の位相がわずかに変化するため、測定対象によっては測定精度が落ちる場合がある。そこで、位相差を補正する機能を付加した。これにより、測定値精度の維持を実現している。