1月6日、株式会社電通 石井社長は同社の仕事始式にあたって年頭の所信を述べた。主な内容は以下の通り。

2013年の電通グループ最大のトピックスは、イージス・グループの買収完了だった。昨年3月26日に誕生した海外事業部門を統括する「電通イージス・ネットワーク」では、その傘下のイージス・メディアと電通ネットワークが、それぞれ独立したネットワークとして顧客にサービスを提供すると同時に、協業を深めてきた。これまでを振り返ると、順調な滑り出しであったと、手応えを感じている。

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催決定も、これから6年後の夏に向け、日本に希望と活力をもたらす大変素晴らしい知らせだった。電通グループにとっても、未来に向けた歩みを重ねていく上で、大変大きな力になってくると思う。

昨年5月に発表した新たな中期経営計画「Dentsu 2017 and Beyond」でも言及している通り、日本は、単一市場として売上総利益でグループ最大の構成比を占めると同時に、最も充実した顧客基盤と事業基盤を有している。もとより日本は電通グループにとって最も重要な市場だが、2020年という大きな軸を加えたことで、成長機会とポテンシャルが一層力強いものになった。

われわれは、未来に力強く輝き続けることができるかどうかの極めて重要な分岐点を迎えているが、今こそが変革の最大のチャンスであり、この時機を逃すことなく全力で電通グループの変革を実現しなければならない。一人一人の社員が、個々の自由と責任を強く自覚して挑戦を続ける意識を持って行動を積み重ねていく、このことこそが、変革に向けた最大の原動力となる。

電通に求められているのは、自律的に考え、行動すると同時に、自分自身の行動や成果に責任を持つことができる人材、いわば「Player」として力を発揮できる人材に他ならない。一人一人の社員が、電通グループに身を置くことの自覚と自負を強く持ち、それぞれの仕事において、一流の「Player」として、自律的に行動することを目指してほしい。

今年2014年は、2月にはロシアのソチで冬季オリンピック・パラリンピックが、6月にはFIFAワールドカップのブラジル大会が、それぞれ開催される。そして日本においては、東京オリンピック・パラリンピックの開催をひとつのトリガーとして、2020年に向けて、さまざまな分野で新たな動きや息吹が次々と生まれてくるだろう。

電通グループの存在意義を原点に立ち戻って考えれば、「課題の解決」という一点に尽きると思う。困難な課題が解決された時、そこには、新たな活力、希望が生まれる。

私もまた、未来を見据え、自らが取り組むべき課題に正面から向き合い続け、先人たちが成し遂げた以上の進化を実現し、電通グループを新たな次元へと飛躍させるべく、尽力していきたい。