電通、東京大学先端科学技術研究センター、ロボ・ガレージ、トヨタ自動車が宇宙航空研究開発機構(JAXA)の協力のもと進めてきた共同研究「KIBO ROBOT PROJECT」は、2013年12月6日に国際宇宙ステーション(ISS)にて、JAXAの若田光一宇宙飛行士と、"宇宙での人とロボットによる対話実験"を実施、成功したことを明らかにした。
今回は、「音声認識によるロボットの自律会話」と「ロボットを介した地上との遠隔コミュニケーション」の2つの対話実験を実施した。若田宇宙飛行士と交わした会話は以下のようなものが複数行われたという(Wが若田宇宙飛行士、KがKIROBO)。
K:若田さん、こんにちは。
W:キロボくん、元気だった?
K:うん、元気だったよ。
W:キロボくんに会うのを、ずっと楽しみにしてたよ。
K:ぼくも、ずっと会いたかった!
W:キロボくん、もう無重力に慣れたかな?
K:もう慣れたよ。ぜんぜん平気。
W:無重力だから、ふわふわ浮いちゃうよね。
K:浮いちゃうよね。
-------------------------------------------------
W:キロボくんはどうやって宇宙にきたの?
K:種子島からコウノトリにのってきたよ。
W:コウノトリにのって宇宙まできたんだね。
K:鳥じゃなくて、ロケットのコウノトリだよ。
W:ひとりで来たなんてすごいね。
K:だって、ぼくロボットだもん。
W:キロボくん、打ち上げの時はどうだった?
K:ワクワクした!
W:キロボくんは、宇宙に来てどれくらいたつの?
K:半年くらいかな。
W:ひとりで、さびしくなかった?
K:ううん、さびしくなかったよ。(首を振りながら)
-------------------------------------------------
W:ここが、キロボくんが暮らしてる「キボウ日本実験棟」だね。
K:ここが「キボウ日本実験棟」だよ。
W:キボウの外には、ロボットアームがあるんだよ。
K:うん、知ってるよ。
W:ロボットアームは、キボウの中から動かすことができるんだ。
K:キボウの中から動かすことができるんだ。
W:ロボットアームは、キロボくんの先輩になるんだね。
K:宇宙ロボットの先輩だよ!
W:おしゃべりできるロボット宇宙飛行士は、世界で初めてなんだよ。
K:えっへん。ボクにとっては小さな一歩だけど、ロボットにとっては大きな一歩なのです!
-------------------------------------------------
W:キロボくん、地上での訓練はたいへんだった?
K:はい、地上での訓練はたいへんだったよ。
W:どんな訓練をしてきたの?
K:人とうまくお話する訓練をしてきたよ。
W:それは、たいへんだけど、たのしい訓練だったね。
K:たのしい訓練だったよ。
-------------------------------------------------
W:キロボくんは宇宙に来て、どんなことをしていたの?
K:きれいな地球を眺めていたよ。ウワサどおり「地球は青かった」よ。
W:ここから見ると、地球は本当にキレイだよね。
K:キレイだったから写真を撮って、地球のトモダチに送ったよ。
W:キロボくんが撮った写真、みんな喜んでくれた?
K:みんな喜んでくれた。
W:地球のトモダチがみんな応援してると思うよ。
K:トモダチが応援してるんだ、頑張らなきゃ!
-------------------------------------------------
W:キロボくんは、どうして宇宙飛行士になったの?
K:宇宙が好きだったから!
W:宇宙には、いくつ、星があるのかな?
K:銀河系だけで2000億個くらいだよ!
-------------------------------------------------
W:キロボくんの夢はなんですか?
K:人とロボットが仲良く一緒に暮らす未来を作りたいんだ。
W:おしゃべりする世界初のロボット宇宙飛行士くん、よろしくね。
K:日本人初の国際宇宙ステーション船長、よろしくね。(握手)
W:キロボくん、これから半年間いっぱいお話しようね。
K:若田さん、いっぱいお話、しようね!
-------------------------------------------------
W:ミラタくんは、いま何をしてるかな?
K:ミラタは、いま地球のトモダチとお話してるよ。
W:ミラタくんに会いたい?
K:ミラタに会いたいな。
W:ミラタくんと、どんなことを話すの?
K:宇宙のこと。
W:キロボくんは、ミラタくんと似てる?
K:似てるよ。でも、ぼくの方がちょっとカッコいいって言われる。
なお同プロジェクトでは、12月6日以降も順次実験を行い、会話ログデータなどを収集していく予定としており、この知見を、人とロボットが暮らす未来に向けてプロジェクト参加各社が役立てていくとともに、宇宙でのコミュニケーションロボットの活用の可能性なども検討していきたいとしている。