本田技研工業(ホンダ)は11月13日、同社の米国現地法人であるアメリカン・ホンダモーターは、現地時間2013年11月12日に、「歩行アシスト」(画像1~4)を用いた共同試験を、シカゴのリハビリテーション専門病院であるリハビリテーション・インスティテュート・オブ・シカゴ(Rehabilitation Institute of Chicago:RIC)において開始したことを発表した。

歩行アシストは、けがや病気などで歩行が不自由になったり、加齢などによって脚力が低下した人の歩行改善を支援する機器だ。1999年から研究がスタートし、ASIMOの開発で培ったヒトの歩行研究に関するデータの蓄積をベースとして開発された。同社独自開発の薄型モーターと制御システムや、シンプルなベルト着用式の採用などで小型軽量化が図られており、装着時の負担を軽減するとともにさまざまな体格の人でも使用できるのが特徴である。

また、歩行時の股関節角度センサーの情報を基に制御コンピュータがモータを駆動する「協調制御技術」を採用しており、左右の足の振り出しと蹴り出しのタイミングの対称性を改善すると共に、歩幅の拡大を促し、より楽な歩行を可能とする装置だ。なお協調制御技術は、東京工業大学 三宅美博教授の「リズム音刺激による歩行の相互引き込み作用」理論が参考にされている。

今回の共同試験では、RICにおいて同病院の理学療法士および研究者が、脳卒中を経験した患者の歩行改善において、歩行アシストの適合性や有効性などの検証と評価を行う予定だ。

なお日本においては、医療法人や企業、研究機関と共に歩行アシストの研究が進められており、歩行訓練者や理学療法士、医師および研究者から、歩行訓練者のリハビリテーションにおける歩行アシストの有効性や適合性について一定の効果を認めるフィードバックが得られているとしている。

画像1(左):歩行アシスト。 画像2(右):歩行アシストを装着して歩いている様子

画像3(左):歩行アシストの装着の様子を横から。画像4(右):同じく後ろから