ブラザーは9月26日、インクジェットプリンタ「PRIVIO」とレーザープリンタ・複合機「JUSTIO」の2シリーズ5製品を発表した。また、同社のプリンタ・複合機がウイングアークの帳簿ソフト「SVF」「RDE」に対応したことも合わせて発表した。

インクジェットプリンタの「PRIVIO」は、ワークシリーズの「MFC-J6970CDW」と「MFC-J6570CDW」、ネオシリーズ「MFC-J4910CDW」の3製品がラインナップされる。

価格はオープン。市場想定価格と発売時期は以下の通り。

型番 MFC-J6970CDW MFC-J6570CDW MFC-J4910CDW
市場想定価格 6万4980円 4万5980円 4万5980円
発売時期 11月上旬 12月上旬 11月上旬

PRIVIOのワークシリーズ「MFC-J6970CDW」と「MFC-J6570CDW」は、新エンジンの搭載によりA4サイズのモノクロ印刷が「22枚/分」、A4サイズのカラー印刷が「20枚/分」と前モデルと比較して約2倍の高速化を実現。また、印刷スピードの高速化を図りながらも、本体の体積を15%削減することができたという。

ほかにも、A3用紙までの両面原稿を一度に読み取ることができる「両面同時スキャン」や、A4原稿を横向きに給紙することでスキャン速度を向上させる「A4高速スキャンモード」に対応。ADFで原稿をセットし直すことなく、高速スキャンを実現している。

また、ビジネスシーンで利用が多い黒インクは、通常の約4倍に増量した大容量パッケージを採用。その他の色も含めたインクのランニングコストは、カラー文書1枚あたり約6.6円となり、オフィスの経費削減に貢献できるとしている。

ワークシリーズのみの特徴としては、プリンタで利用するアプリとして「お役立ちツール」が提供される。「簡単Eメール送信」では、スキャンしたデータをブラザーのクラウドサーバー経由で指定したメールアドレスに送信できる。「スキャン to Office文章」は、紙のビジネス資料をスキャンするだけでOfficeデータ(Word、Excel、PowerPoint)に変換。文章はOCRでテキストに、グラフや写真などのオブジェクトはJPEGデータとして取り込まれるため、編集することができる。最後に、「手書きトリミングスキャン&コピー」では、手持ち資料の中で必要な部分だけ赤ペンで囲むことで、その指定範囲だけをスキャン、コピーすることができるという。

MFC-J6970CDW

MFC-J6570CDW

一方、ネオシリーズの「MFC-J4910CDW」は、A4用紙を横向きに送る給紙方式を採用。これにより、奥行きが290mmと省スペースを実現したという。また、2段記録紙トレイを搭載しているため、一度に400枚までの給紙が可能となっている。

2段のうち、下段トレイには用紙サイズの切替が簡単に行える「A4⇔A3伸縮型記録紙トレイ」を搭載し、これまでのNEOシリーズでは対応していなかった連続A3プリントが可能となった。

ほかにも、A4サイズまでの両面同時スキャンや、はがき連続スキャン機能といったビジネス効率を上げる様々な機能にも対応している。

節電対策への取り組みとしては、ブラザーが独自開発を行った低待機電力技術「グリーンスタンバイ」を採用。電源OFF時の消費電力を約0.04Wと限りなくゼロに近付け、環境に配慮した製品になっている。

MFC-J4910CDW

両シリーズの共通した特徴としては、クラウドサービスやスマートデバイスとの連携が挙げられる。クラウドサービス連携では、EvernoteやDropbox、SkyDriveといった主要なサービスに対応し、PCを経由することなく書類の直接プリントが可能となる。クラウドサービス側の仕様変更などがあった場合でも、クラウド連携はブラザーのクラウドサーバーを経由して行われるため、使えなくなる可能性は少ないとしている。

スマートデバイスとの連携では、カンタンにスマートデバイス内の写真やドキュメント、Webサイトがプリントできる「Brother iPrint&Scan」に対応。ほかにも、Appleのスマートデバイス製品で専用アプリをインストールすることなく、カンタンに印刷できる「AirPrint」や、Gmailメール本文や添付ファイルを外出先から印刷できる「Google Cloud Print」、無線LANルーターを経由することなく対応端末と接続できる「Wi-Fi Direct」にも対応する。

また、Android端末などで搭載が進む非接触の近距離無線通信技術「NFC」をMFC-J6970CDWに搭載。対応端末をタッチするだけで、Wi-Fi設定を行うことなく、簡単にプリントやスキャンができる。

レーザープリンタ「JUSTIO」シリーズも2製品登場

ブラザーのレーザープリンタ・複合機「JUSTIO」シリーズについてもA4カラー複合機「MFC-9340CDW」と、A4モノクロ複合機「FAX-2840」の2製品を発売する。

価格はオープン。市場想定価格と発売時期は以下の通り。

型番 MFC-9340CDW FAX-2840
市場想定価格 6万9980円 4万5980円
発売時期 10月上旬

A4カラー複合機「MFC-9340CDW」も印刷スピードの高速化を図っており、従来機の1.4倍となるA4サイズのカラー・モノクロ印刷で22枚/分を実現している。自動両面プリント機能では、複数ページを1枚にレイアウトできるページレイアウト機能と併用することで、紙資源の節約などに貢献できるという。また、2本のCISスキャナーを採用することで両面同時スキャンも可能となっている。

有線LAN、無線LANを搭載しており、クラウドサービスやスマートデバイスとの連携はPRIVIOシリーズと同様に対応。NFCも搭載しており、対応端末をタッチするだけで、Wi-Fi設定を行うことなく簡単にプリントやスキャンができる。

A4モノクロ複合機「FAX-2840」は、コンパクトでFAXとして使いやすいシンプルなデザインに設計したという。ワンタッチダイヤル登録やFAX誤送信防止機能、メモリーバックアップといったFAXならではの機能を搭載している。また、上位機種である「FAX-2810N」と比較して消費電力を大幅に削減しており、スリープ時の消費電力が1.5Wと約65%の省電力を実現している。

MFC-9340CDW

FAX-2840

ブラザーの認知度は年々上昇

ブラザーは同日、都内で新製品発表会を開き、ブラザー販売 代表取締役社長の片山 俊介氏と、同社 取締役の三島 勉氏、同社 マーケティング推進部長の大澤 敏明氏が商品説明を行った。

ブラザー販売 代表取締役社長 片山 俊介氏

ブラザー販売 取締役 三島 勉氏

ブラザー販売 マーケティング推進部長 大澤 敏明氏

冒頭、片山社長は8月に発表した一般家庭向けPRIVIOシリーズについて言及。「お客様からいい反応をいただいている。年末商戦に向けていい手応えを感じているところ」と、目標とするシェアの確保に自信を見せた。

また、「80年代の不況を機に、プリンタという新しいワークスタイル、SOHO市場で確固たる地位を築いてきた。A4モノクロ複合機やA3インクジェット複合機でシェア1位を取るなどブラザーの認知が年々高まってきている」とし、SOHO向けのビジネスプリンタ市場で足場を固める狙いを語った。

続いて片山社長に代わり、三島取締役が新製品の具体的な説明を行った。ブラザーは、ビジネスインクジェットプリンタのシェアで40%を占める大手だが、強さを見せるSOHOでも、社員数が増加するほどブラザーのシェアが下がる傾向にあったという。SOHOとはいえ、社員数が10名程度の規模になってくると、通常の大型コピー機を販売店から購入するユーザーが多いためだ。

そこでブラザーでは、ユーザーの声に耳を傾け、そこで得た情報をフィードバックして多様なニーズに対応するべく、インクジェットプリンタ/複合機であっても、レーザープリンタに劣らぬ高速コピー、高耐久、低ランニングコストを実現したという。

また、2008年に同社が発売した「MFC-6490CN」について振り返り、「A3複合機は高級品であったが、コンパクトかつ5万円を切る低価格で投入し、販売数量が予想を遙かに上回る数字となった。後継機種についても高い満足度評価をいただいており、最新モデルであるMFC-J6970CDWについても引き続き頑張っていきたい」と語った。

今回の新製品群を投入することで、2013年度のビジネスインクジェット複合機市場で目標シェア50%、販売目標15万台、A4レーザー複合機市場で目標シェア40%、販売目標6.5万台を目指すとしている。

また、1万7500社に導入実績のあるウイングアーク社の帳票基盤ソリューション「SVF」と、帳票運用管理ツール「RDE」に対応し、SVF作成帳票から簡単に出力できることも合わせて発表している。