文化や風習に各国で個性があるように、デザインにおいても「美しい」とされる基準は国によって違うはず。そこで、日本に住んでいる外国人20人に「日本と自国で、良いとされるデザインに違いはある?」という質問を投げかけてみました。
■色の選び方が違うと思う。(ペルー/40代前半/女性)
デザインにおいて色彩は、最も国柄を感じやすい要素ですよね。
■日本では控え目なデザイン、韓国では派手なデザインが多い気がします。(韓国/30代後半/女性)
■日本はシンプルが良いとよく言われるが、マリでは派手でごちゃごちゃしているほうが好まれる。(マリ/30代前半/男性)
こちらの回答者の出身国であるマリでは、赤・黄・青といった鮮やかな色のアフリカ民族衣装が印象的です。そのようなデザインと比較すると、日本のデザインは落ち着いて見えるのかもしれません。「侘び・寂び」の精神や「余白」を大切にする美的感覚は、日本ならではのものです。
■チェコでは、一目で美しいと感じるものがよいとされています。(チェコ/30代後半/女性)
チェコというと、色を大胆に使ったグラフィカルなポスターや、レトロポップな雑貨などのイメージがあります。はっきりとした色面構成のセンスは西欧・東欧の強み。対して日本人は、柔らかな色彩やくすんだ色味にも美を見出します。パッと目立つアイキャッチの強さには欠けるかもしれませんが、長く使ううちにジワジワと良さが分かってきますよね。
■ドイツでは、丈夫で長持ちするものが良いデザインとされているので、ガッシリとしてサイズも大きめのものが多い。日本からすると味気なく感じられることもあるかもしれません。最近、日本で冷蔵庫を購入しましたが、日本のほうが色や形はきれいだと思います。(ドイツ/30代後半/男性)
ドイツは質実剛健で、無駄のないデザインが多い印象がありますよね。1919年に生まれた芸術学校「バウハウス」の提唱した、合理主義的な芸術概念が今も広く浸透しているためと言えるでしょう。しかし、そんなモダンデザインの先達でもあるドイツ人から「日本のほうが色や形はきれい」というコメントを頂けるとは、ありがたいことです!
■タイでも、日本のデザインを参考にして作られているものが多いので、あまり違いはありません。(タイ/30代後半/女性)
■特に違いは感じません。(ロシア/20代前半/女性)
実は一番多かった回答が、「違いは感じない」という意見。デザインの世界においても、グローバリゼーションによって各国の差は感じられなくなっているということでしょうか。また、日本が様々な国のデザインを取り入れ、既に吸収しているということも理由のひとつかもしれません。
こうして海外との比較の中で、デザインにおける自国の良さを再認識してみると面白いですね。2020年の東京五輪の開催も決定し、今後より一層海外から見た日本が意識されるようになっていくでしょう。伝統的な和のイメージだけでなく、現代の日本のデザインの良さを世界へ発信できるまたとないチャンス。果たしてどんなデザイナーたちが、どのような方向性でデザインを打ち出していくのか……今から楽しみです!