先日発表されたiPhone5sならびにiPhone5c。発表日には様々なメディアにおいて多くの記事が掲載されるなど、改めてアップル製品の注目度の高さを知らしめましたね。そんなiPhone5sならびにiPhone5cのデザインについて、クリエイターたちはどのような印象をもったのでしょうか。今回は世界初のティアラデザイナーである紙谷太朗氏に聞いてみました。

――先日発表された最新iPhoneのデザインについてどう思いますか?

個人的には、5sのゴールドの佇まいは、完璧にツボです。今までのiPhoneのCoolな印象を越えた、Luxuryな華やかさには、気分が高揚してしまいます。日常的に、心が動いた瞬間のヒトやモノを、カメラやスケッチ帳、ビジュアルで綴ることが多いので、iSightカメラの性能が上がったことは、とても嬉しく思います。また、カラフルな5cは、よりヒトの"感情"に近づいた、生命体のような印象を受けました。

――ほかのスマートフォンとはどのような違いを感じますか?

携帯は、機能性より、見た目・デザイン重視で選びます。iPhoneは、プロダクトデザインも、インターフェースデザインも、細部に渡って、美意識が統一されていて、とにかく美しいの一言です。ほかの携帯電話が、コミュニケーションための『ツール』だとしたら、iPhoneは、存在そのものが、美学、質、インテリジェンス、革新性を感じさせる『アート』だと思います。

iPhone5s(左)ならびにiPhone5c(右)のWebページ

――自分がクリエイターだからこそ感じる、iPhoneのデザインへのこだわりはありますか?

iPhoneとティアラは、細部にこそ神が宿るという点に、シンパシーを感じます。以前、研究のために、プロダクトデザイナーの友達と、iPhoneを分解する機会があったのですが、金属パーツのひとつ一つ、小さなネジにまで、とても、無垢な”美”を感じました。高い機能性、精度感を持つものは、どんな大きなモノも、小さなモノも、神秘的な緊張感と美を、そのデザインフォルムに宿します。その全てがつながって、iPhoneの、あの触感の心地よさを産み出しているんだ………と、感動しました。

――今後、どのようなデザインのiPhoneが出てきたら面白いと思いますか?

女性専用のiPhoneを創ってみたいですね。テーマは「iPhone-Muse」。ボディーはクリスタル。ホームボタンやパーツに、ダイヤモンドを散りばめ、Solid Perfume(練り香水)を入れられる箇所を設けます。置いてあるだけで、五感を刺激してくれる圧倒的な存在感。電話をしながら歩くと、すれ違った皆が振り返るスペシャルな輝きを演出してみたいです。

――iPhone以外にもアップル社のデバイスのデザインに関するイメージを教えて下さい。

アップル社の全デバイスに、うっとりする、官能的な魅力を感じます。フェースラインのバランスが完璧で、とにかく触れてみたくなる、エレガントな佇まい。複雑で圧倒的な技術がありながらも、それを感じさせないシンプルさ。一目で理解できる、究極のインテリジェンス・クリエーション。きっと、膨大に思考し、試行した末に、ばっさりと切り捨てているその潔さは、自身にとっても、『創作』とは、どうあるべきか?を、いつも問われているような、神のような存在です。

世界初のティアラデザイナー・紙谷太朗
1976年10月1日生まれ。大阪府出身。自身の結婚式で、妻のためにティアラをデザインしたことがきっかけとなり、オーダーメイドティアラデザイナーとしての活動をスタート。『女性の夢をデザインする』といわれる、独創的なティアラデザインのストーリーは、花嫁から絶大な支持を受けている。また、2011年6月には自身の名を冠にしたティアラブランド「TARO KAMITANI」を立ち上げ、一人でも多くの花嫁に幸せを運ぶために、数多くの作品を発表し続けている。これまでにニューヨークADC賞(Hybrid部門)、graniph design award2007、読売広告賞などを受賞している。