アルプス電気は8月28日、表面実装に対応した2回路しゅう動接点式マイクロスイッチ「SPVQC」シリーズを発表した。

自動車の電子化進展に伴い、欧米韓を中心にエレクトリカルパーキングブレーキ(EPB)の搭載が増えている。こうした安全性の確保が必要な機器の機構部には、フェイルセーフとして回路を2重化するなど、システムのバックアップの確保が一般的に行われている。

これまで、EPBにおいては、2個のマイクロスイッチを使用してバックアップを確保していたが、低速で動作をすると各スイッチのオン/オフの同期タイミングがずれるなどの不具合が発生するとともに、微弱な電流で使用する際、一般に多く用いられているバット接点構造では、ゴミなどが混入することで接触不具合を起こすことがあった。また、LEDなどのEPB周辺部品において表面実装タイプが増えており、顧客での組み立ての際に、それらと一緒にリフローはんだ処理のできるマイクロスイッチが求められていた。

同製品は、欧州市場で50%以上のシェアを獲得するなど、高い評価を得てきた従来品シリーズとなる「SPVQ9」と同じ2回路しゅう動接点構造を採用しつつ、塵、ほこり、振動や衝撃に対する強化による高い接触信頼性を確保した表面実装タイプ品であり、同社の機構設計技術と精密加工技術を生かし、内部のメカ設計を1から見直したことにより横幅を1mmへと小型化することにも成功している。

また、可動接点が常に固定接点を挟む両面しゅう動接点構造であり、スイッチの押し始めから、オン/オフの切り替え、そしてスイッチを押し切るまでの、どの操作範囲においても接点にかかる圧力を一定に保つことができるという特長も有しているほか、スナップアクション構造の採用と合わせることで、操作位置や操作速度に関係なく常に安定した接触を得ることが可能で、操作用スイッチとして高い信頼性を実現したとする。

さらに、2回路間の切り替えタイミングは、SPVQ9シリーズ同様、どのような操作速度でも15ms以下の短時間で切り替わることが可能で、これにより、1個のスイッチで機器のフェイルセーフシステムを構築をすることができるようになり、機器設計におけるコストダウンおよび搭載スペースの削減にも寄与するという。

なお、サンプル価格は350円。すでに、量産出荷を開始している。10月には、月産40万個体制に拡大する予定。

アルプス電気の表面実装に対応した2回路しゅう動接点式マイクロスイッチ「SPVQC」シリーズ