チャレンジスピリット溢れた「とくふぁい!」
そうした中、目に留まったチームを挙げると、なんといってもハデなのが「とくふぁい!」だろう。ここの何が面白いかというと、4台のレスキューロボットがいるのだが、その内の1機(1号機「エアロスミス」)が、全参加チーム中で唯一の飛行型ロボット、4ローターのマルチコプター型の偵察ロボットなのだ(画像33)。昨年からこの飛行型ロボットに挑戦しており、このチャレンジングスピリットは素晴らしい。何も渡せないが、デイビー日高賞を進呈したい(笑)。
プレゼンテーションによれば、まずこの飛行型ロボットが上空から偵察を行い、要救助者の位置を確認して、マーカを投下し、地上部隊(2号機「グランエル」、3号機「トクシマシン3改」、4号機「ぷれあです」)が現地に向かうということである。現実の震災でも道路が地割れやガレキの散乱などによって通行が難しくなることから、ヘリコプターなどによる偵察が行われるわけだが、その数を補うため、UAV(Unmanned Aerial VehicleもしくはUnmanned Air Vehicle:飛行ロボット)による偵察も研究されており、飛行ロボットによる偵察は現実に即した考え方といえよう。
しかし、残念なことに実際の救助活動中では、1号機は最初に飛ばなかった。実はゲートをくぐらせる必要があることから、ローター間の距離を詰めているため、かなり安定性がないために操縦が難しく、飛行がやっとという状態なのだそうだ。これは、自動車が前後輪の間の長さを表すホイールベースを短くすると、直進安定性が落ちてしまうのと同じようなものである。
そのため、最後にお披露目とばかりに、ほかのロボットに押されてゲートをくぐり(飛行しながらゲートを通過するのはギリギリのサイズなので無理)、実験フィールドのそばまで来てから飛行を開始。飛ぶことには成功したが、操縦はやはり難しいようで、コントロール不能になって、あえなく墜落してしまった(動画1・2)。客席に突っ込まなかったのは幸いである。飛行は問題なさそうなので、あとは「安定性の確保」がカギといえるだろう。おそらく、昨年よりも進歩していると思われるので、来年は課題を解決してくれるに違いない。
ちなみに、これは機械設計の専門的な知識のまったくない素人の意見なのだが、ゲートをくぐったあとならロボットがどう変形してサイズを変えようが問題ないため、4つのローターをつないでいるフレームを伸ばす仕組みを備えるとか、どうだろうか(すでに却下された案かも知れないが)。