住友スリーエムは7月2日、製造工程における静電気環境のモニタリングシステム「3M 静電気監視システム」を開発、販売を開始したと発表した。

静電気はさまざまな場所で発生するが、例えば半導体製造工程で発生すれば、半導体デバイスの故障などにつながり、歩留まりの悪化などが生じるため、その対策が常に求められている。従来は、そうした製造工程では静電気導電性を持つフロアマットやイオナイザなどを用いて対策が施されてきたほか、放電検知器を用いた静電気放電の有無の確認なども行われているが、製造工程全体の静電気発生状況について、網羅的に継続してモニタリングすることが難しかった。

同製品は、各種センサとデータ統合ソフトウェアを搭載したPCをネットワークでつなげることで、静電気放電や誘導帯電の発生の有無、人体帯電電位の変化、ワークステーションやFA機器の接地状況をリアルタイムに監視することが可能なほか、これらの情報をまとめたレポートの作成が可能だ。

また、データ統合ソフトウェアを活用することで、製造機器と各種センサが配置されたフロアービューをPC画面上に再現し、静電気放電の発生状況や測定値をリアルタイムで表示することで、状況を容易に把握することが可能。異常発生時にはその履歴が記録、表示されるほか、異常を検知したセンサは光と音で異常発生を知らせることも可能だ。

さらに、データ統合ソフトウェアを活用することで、期間を特定したトレーサビリティレポートの出力ができるほか、エクセルファイルやテキストファイルへのデータ出力も可能なため、製造ロットに対応した期間の静電気の発生状況を把握することによる当該ロットの信頼性の向上も可能になるという。

製造機器と各種センサが配置されたフロアービューの画面イメージ。静電気放電の発生状況や測定値がリアルタイムに表示され、容易に状況を把握できるようになる

デバイスビューの画面イメージ。センサごとに異常発生の有無を確認できるほか、異常発生時の記録は右側のアラームの発信履歴で確認できる