川崎重工業は5月30日、農林水産省の「ソフトセルロース利活用プロジェクト」において取り組んできた、稲わらを原料とするバイオエタノール製造実証試験を完了し、非食用バイオマスである稲わらから低コストなバイオエタノールを製造する技術を確立したことを発表した。

同プロジェクトは、非食用の未利用資源である稲わらなどのソフトセルロースからバイオ燃料を製造する技術の確立を目的としたもので、今回の実証試験では、稲わらの糖化工程において同社の技術である「熱水式バイオエタノール製造技術」を採用することで、硫酸や酵素を使用する必要から高コストになっていた糖化工程を熱水のみで実現できるようにしたという。

また、同技術は熱水の条件を変更することで、稲わら以外のソフトセルロースの糖化処理も可能だという。

さらに、実際に日産200lの生産能力を持つ製造実証プラントを設計・建設し、稲わらの前処理、糖化、発酵、蒸留および無水化まで一貫した連続稼動を行い、JISに適合したバイオエタノールを安定して製造可能であることを確認している。

なお、製造コストは商業規模で1lあたり40円とのことで、非食用の未利用資源からバイオエタノールを商用レベルで実用できる製造技術が確立したことが示されたと同社では説明している。

川崎重工が秋田県潟上市に建設したバイオエタノール製造実証設備