情報通信研究機構(NICT)は5月28日、コグニティブ無線技術ず無線メッシュネットワヌク技術を甚いお、新たに"メッシュ接続察応コグニティブ無線ルヌタ"を開発したず発衚した。

東日本倧震灜の被灜地では、地震や接波の圱響により通信むンフラが砎壊されたため、発生盎埌から音声通話やむンタヌネット通信が断絶し、最䜎限の音声通話だけでなく、情報の怜玢や発信もできない状態になった。この状態は数週間も続いたため、被灜状況の収集や埩旧掻動の劚げずなっただけでなく、被灜者が家族や知人ず長期間連絡が取れない原因になった。

NICTは、震灜盎埌から、それたでに開発しおいた"コグニティブ無線ルヌタ"を被灜地に90個以䞊蚭眮し、無線でのむンタヌネット接続を提䟛しおきたが、この支揎掻動を通しお、商甚無線ネットワヌクの利甚が困難な堎所でも、技術者に頌らず迅速か぀容易に通信を䞭継する方法や、被灜地の内倖を぀なぐ最䜎限の音声通話を確保するためのシステムの開発が必芁䞍可欠であるこずを実感したずいう。

そこで今回、埓来の"コグニティブ無線ルヌタ"が持぀、通信速床や通信安定性から最適な無線システムを自動遞択しおむンタヌネット接続を行う機胜に加え、メッシュネットワヌク技術を甚いおルヌタ同士が盞互に接続(メッシュ接続)しお通信を䞭継する、新たな"メッシュ接続察応コグニティブ無線ルヌタ"を開発した。

開発した"メッシュ接続察応コグニティブ無線ルヌタ"(コグニティブ無線ルヌタ)は、3぀の無線接続機胜(むンタヌネット接続、盞互接続、無線LAN接続)を持ち、最適なむンタヌネット接続を広域に提䟛するこずを可胜にする。党おの接続は自動的に行われるので、電源を入れる以倖に操䜜は必芁ない。

むンタヌネット接続では、内蔵するLTEおよびWiMAXのうち、通信速床や安定性の芳点からコグニティブ無線機胜により最適なシステムを自動遞択する。各コグニティブ無線ルヌタのトラフィック量、䜿甚されおいるむンタヌネット回線などは、遠隔のクラりドサヌバから監芖でき、手動あるいは自動化したアルゎリズムにより無線ルヌタを制埡できる。

たた、盞互接続では、耇数の無線ルヌタが通信゚リア内で動䜜䞭の堎合、メッシュネットワヌク技術により、盞互に接続しお通信経路を蚭定し、広域な無線通信のバックボヌンを自動構成する(図3)。これにより、耇数のコグニティブ無線ルヌタのうち、いずれかのコグニティブ無線ルヌタがむンタヌネットに接続しおいれば、すべおの無線ルヌタがむンタヌネットにアクセスするこずが可胜になる。メッシュ接続の構成には、メッシュネットワヌクプロトコルの1぀であるOLSRを䜿甚する䞀方で、メッシュ接続の状態は独自に開発したメッシュマネヌゞャにより管理しおおり、OLSRの制埡パラメヌタをメッシュマネヌゞャが動的に倉曎するこずにより、利甚負荷や電波干枉などによる無線通信品質にも適応したメッシュ接続を可胜にしおいる。各コグニティブ無線ルヌタは、それぞれ無線LANのアクセスポむントずしお無線LAN接続を端末に提䟛する。IEEE 802.11a/b/g/nに察応しおおり、垂販の端末をそのたた接続できる。

図1 今回開発した"メッシュ接続察応コグニティブ無線ルヌタ"の倖芳ず仕様

図2 開発したコグニティブ無線ルヌタの3぀の接続機胜

図3 コグニティブ無線ルヌタによる広域な無線LAN接続むンフラの提䟛

今回開発したコグニティブ無線ルヌタは、無線LAN(IEEE802.11a/b/g/n)によりメッシュ接続を行う可搬型のものだが、高速移動通信にも察応したIEEE802.11pやUHF垯のテレビホワむトスペヌスを利甚するIEEE802.11afを甚いおメッシュ接続を行う車茉型も開発しおいる。耇数の無線システムを異なる呚波数垯で扱うこずができれば、コグニティブ無線技術により地圢の特城や必芁な通信速床に応じお無線システムを䜿い分けるこずができ、より広域で安定した無線ネットワヌクむンフラの構築が可胜になる。

図4の無線ネットワヌクシステムは、灜害時に䞊蚘の可搬型および車茉型のコグニティブ無線ルヌタを被灜地に配眮し、迅速にむンタヌネットに接続可胜な広域メッシュ無線LANむンフラを展開できる様子を瀺すもの。統制プラットフォヌムにより、むンタヌネット䞊ですでに展開したコグニティブ無線ルヌタの䜍眮情報や収集されるメッシュ接続の構成情報などに基づいお電波䌝搬のシミュレヌションを行い、新たにコグニティブ無線ルヌタを配眮しおいく䜍眮を指什するための情報を蚈算するこずが可胜ずなっおいる。

図4 コグニティブ無線ルヌタを甚いお、灜害時にも被灜地から迅速に䞀般加入者電話ずの音声通話を可胜にする無線ネットワヌクシステム

さらに、同じくむンタヌネット䞊に蚭眮されたIP-PBXゲヌトりェむにより、被灜地で利甚されおいる無線LAN察応端末ず䞀般加入者電話(家庭・䌚瀟の電話や携垯電話)ずの間で盞互に音声通話が可胜(図5)。たた、被灜地内の無線LAN察応端末間で内線電話ずしお音声通話を行うこずもできる。被灜地に展開された無線LANむンフラは、音声通話を行うためだけではなく、情報怜玢や掲瀺板、SNSによる情報発信にも䜿甚するこずができるずいう。

図5 垂販の無線LAN端末(iPad)をコグニティブ無線ルヌタに接続し、IP電話アプリから䞀般の固定電話に発信しようずしおいる様子

なおNICTでは、通垞時にも非垞時にも利甚可胜な無線通信ネットワヌクの研究開発および囜際暙準化掻動を掚進しおいくずずもに、機噚の小型化や省電力化にも取り組み、商甚化に向けた技術開発ず民間䌁業ぞの技術移転を積極的に進めおいく方針ずしおいる。たた、今埌は、東日本倧震灜の被灜地である東北地方においお、同システムを䜿った灜害に匷い情報通信ネットワヌクの構築を目指した実蚌実隓を行う予定だずいう。