NHK(日本放送協会)の、たまごが3つ並んでいるようなロゴ。番組の放送開始時や終了時に表示されたり、中継車に描かれていたりするので、皆さんも何度も目にしたことがあるでしょう。さて、このロゴですが、モチーフはやはり"たまご"なのでしょうか? またどんな意味が込められているのでしょうか? このロゴをデザインした中谷日出(なかや ひで)NHK解説委員に伺いました。

NHKのロゴは親しみを感じてもらおうという精神の表れ

――NHKのロゴは、3つのたまごが並んでいるような形ですが、モチーフは何なのでしょうか?

モチーフはおっしゃったとおり「たまご」です。

――やはり、たまごだったのですね。このロゴにはどんな意味が込められているのでしょうか?

このロゴマークは、NHKが視聴者の方々の満足を最優先し、より親しみを感じてもらおうという精神を表しています。

――なぜ、たまごになったのでしょうか?

たまごには生命の源としての存在感や、"コロンブスのたまご"にあるようなアイデアの源、それに物価の優等生といわれる安心・安定感などがあります。このロゴマークは、こうした「たまご」がお互いを支え合うように、NHKの「N」の形を作っています。

――このデザインになった経緯を教えてください。

NHKは、平成7年(1995年)3月の放送開始70周年を機に、コーポレート・アイデンティティー『NEXT10』をスタートさせました。21世紀に向けて公共放送の新たな歴史を刻むために、NHKのイメージアップを図ろうというものです。この取り組みの中で、NHKの新たな歩みを始めるシンボルとして新しいロゴマークを作りました。

作成にあたっては、近未来のNHKの姿を5つのシナリオとして作成し、「将来のメディア環境」など、シナリオごとに未来のNHKのあるべきビジュアルイメージを作りました。5,000案以上のロゴデザインアイデアが寄せられ、『NEXT10』委員会の検討などを経て決まりました。

――ロゴのデザインとしてこだわっている点はどこでしょうか?

国内外をリサーチし、どこにもないオリジナリティーあるデザインを作成しました。公共放送としてオリジナリティーに最もこだわっています。

――なるほど。似たようなものがない、唯一のものであることにこだわっているのですね。

「たまご」という、私たちにとって非常に身近な存在のものを使いながらも、どこにもないオリジナリティーのあるロゴにする。NHKのロゴは、こうした相反する要素をクリアして作られたものであることがわかりました。だからこそ、あまり頻繁に見る機会がなくても、記憶に残るロゴになっているのですね。

(貫井康徳@dcp)