STMicroelectronicsとCMP(Circuits Multi Projets)は、CMPの仲介サービスを通じて、STのH9A CMOSプロセス(130nmノード)が、大学や研究機関、設計会社のプロトタイプ作成向けに利用可能になったと発表した。

同サービスによるシリコンウェハは、STのルッセ工場(フランス)で製造される。今回、アナログプラットフォームや、More than Mooreアプリケーション(エネルギーハーベスティング、自律知能、ホームオートメーション統合システムなど)の新規開発に向けたファンドリサービスとして、同プロセス技術をサードパーティへ開放した。

STのH9Aプロセス(および派生プロセスH9A_EH)がCMPに導入された背景には、CMPがSTのクロル工場を通じて、大学や設計企業に対し、各世代のCMOS技術(28nm CMOS、2003年:130nm、2004年:90nm、2006年:65nm、2008年:45nm)を利用可能にしてきたこれまでの協力があるという。また、CMPの顧客は、STのFD-SOIプロセス(28nm)、SOIプロセス(65nm/130nm)、およびSiGeプロセス(130nm)も利用できる。すでに、200以上の大学や企業が、STの65nmバルクプロセスおよびSOI CMOSプロセスの設計ルールと設計キットを使用している。CMPは2011年より、STの28nmバルクCMOS技術の提供を開始している。100以上の大学と企業が設計ルールと設計キットを導入しており、すでに30種類以上の集積回路が製造されている。また、28nm FD-SOIの導入以来、30以上の大学と企業が設計ルールと設計キットを使用している。

CMPのマルチプロジェクトウェハサービスにより、大学や研究機関、設計企業は、数十個~数千個の少量から最先端ICを入手することができる。大学および企業に対するH9A設計ルールと設計キットの提供は開始されており、すでに最初の発注への対応が始まっている。初回の製造は2013年9月の予定。

STは、次回の設計キット作成において、低エネルギー源を使用したエネルギーハーベスティングや長寿命の自律知能システムの要件であるULP/ULQC(超低消費電力、超低暗電流)製品を提案する予定。STのルッセ工場は、200mmウェハ製造設備を持つ先端工場の1つで、低消費電力ならびに低デューティサイクル向けの技術を提供するとともに、学術研究からの革新的な貢献や協力の中心となっている。今後、機能の追加が予定される一方、安定した製品提供と関係する大学、研究機関および設計企業の中長期的計画を実現するため、技術進歩にかかわらず現在の設計キットおよびプロセスとの互換性は維持されるという。

なお、H9A CMOSプロセスの価格は、1mm2当たり2200ユーロとなっている。