オルニチン研究会は、脂肪肝の所見が認められる被験者を対象にした、遊離アミノ酸の一種でしじみに多く含まれる成分「オルニチン」による肝機能改善効果検証試験を行ったところ、オルニチンの継続的な摂取により、肝機能の状態を表す指標であるALT(Alanine Transaminase)やAST(Aspartate Amino Transferase)、γ-GTPの値が低下する可能性が示唆されたことを発表した。

健康診断で肝機能異常が発見される頻度は、上昇を続けており、日本人間ドック学会の調べでは人間ドックで肝機能異常と診断された人の割合は、2011年に33.3%と、3人に1人が肝臓に何らかの問題を抱えているとしている。

今回の研究グループでは、肝機能の状態を表す指標の1つであるALTの値が高め(42IU/l以上、100IU/l未満)で、脂肪肝の所見が認められる成人男性11名(各被験者は慢性肝炎ウイルス非保有者(HBs抗原とHCV抗体が陰性))を対象に、オルニチン含有食品の摂取が肝機能にどう影響をおよぼすのかについての検討試験を実施したという。

具体的には、1日あたり2.0gのオルニチン塩酸塩を6名に、一方の5名にはプラセボ食品をそれぞれ3週間に渡って継続的に摂取してもらい、試験開始前と試験終了後の採血により、肝機能の状態を表す指標(ALT、AST、γ-GTP)の測定比較を行い、それぞれの変化量からオルニチンの影響を検証した。

この結果、オルニチン摂取群の方がプラセボ群に比べ、血清ALT、γ-GTP、ならびにASTそれぞれの値が改善した被験者が多いことが明らかとなったという。研究グループの一員である大阪市立大の河田則文 教授は、「メカニズムとしては、オルニチンには成長ホルモンの分泌を促進する作用があり、それにより脂質代謝が改善するという過去の研究報告もあり、その結果、肝臓に蓄積した脂肪が分解され、脂肪肝ならびに肝機能が改善した可能性が考えられる」とコメントしている。

オルニチン摂取群とプラセボ群のALT、AST、γ-GTPの値の比較。各群のγ-GTPの変化量(Δγ-GTP)の平均値には、有意差が確認された(p=0.02(t検定))。また、ALTの変化量の平均値については、有意差は認められなかったものの、群間差の傾向が認められた(p=0.06(t検定))。その一方、オルニチン摂取群の方が、試験前後でAST値が改善した被験者が多かったものの、ASTの変化量(ΔAST)の各群の平均値に群間差は認められなかったという