計測機器大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは1月31日、多ポートデバイスやパラレル伝送路の特性評価向けとして、60GHzに対応した電気リモートサンプリングヘッドモジュール「N1045A」を発表した。
同製品は、同社のサンプリングオシロスコープメインフレーム「86100D DCA-X」用モジュールで、IEEE 802.3 ba/bj/bmやOptical Internetworking Forum CEI 3.0など、最新のマルチレーン設計の特性評価を正確かつコスト効率良く行えるよう開発されたもの。「86100D DCA-X」には、最大4個の「N1045A」を搭載することができ、4ポートモジュールを4個搭載した場合には、最大16チャネル構成が実現する。
スマートフォンやタブレットPC、動画コンテンツの普及にともない、ネットワークの高速化の要求はますます高まっている。ネットワークの高速化には、28Gbps以上で動作するマルチポートのシリアルインタフェースが不可欠となる。従来、高速かつ多ポートの部品やシステムの評価を行うには、オシロスコープを複数台用意して、複雑なスイッチングシステムで切り替えながら測定する必要があった。しかし、この方法では、システムが高価になるだけでなく、シグナルインテグリティ関連の測定仕様に影響を与えてしまうことがあった。
一方、「N1045A」を1~4個搭載したサンプリングオシロスコープ「86100D DCA-X」を用いれば、2~16チャネル構成を低価格で実現でき、しかもシグナルインテグリティ関連の測定仕様を改善できる。さらに、「N1045A」と高安定タイムベースモジュール「86107A」を組み合わせると、8チャネル/60GHzシステムを、200fs rmsという低タイムベースジッタで実現することが可能で、25~28Gbpsの評価系に最適だと同社では説明している。
また、最高の測定仕様を実現するために、様々な工夫を採用している。まず低ノイズのサンプラと被測定物との距離を最小化するため、リモートッドを1.6mのケーブルの先端に配置している。リモートヘッドに採用されている1.85mmのコネクタは、オス/メスを選択可能で、使用頻度の多い方を選択することで、アダプタに起因する信号劣化を抑えられる。リモートヘッド自体も業界最小・最軽量の設計で、取り回しがしやすく、狭い箇所などへの取り付けも可能。さらに、ユーザによる帯域幅設定(60/45/35/20GHz)とサンプラごとに独立したスキュー制御により、被測定物ごとにレシーバを最適化することが可能となる。
なお、価格は2ポートモジュールの「N1045A-02F/N1045A-02M」が539万6979円(税別)、4ポートモジュールの「N1045A-04F/N1045A-04M」が994万3645円(税別)(ちなみに型番の末尾のF/Mは、コネクタの形状の違い)。すでに出荷を開始している。