東レは1月29日、直径150nmの極細ナノファイバーならびに断面形状がY型の異型断面ナノファイバーの開発に成功したと発表した。

線維径150nmのナノファイバーは、同社の有する独自の超微細ポリマー流制御による精密複合紡糸技術を活用したもので、従来の限界であった線維径300nmの半分となる直径を実現した。フィルタとして用いた場合、3次元で均質かつ緻密な構造体を実現でき、ろ過・分離機能の向上が見込めるという。例えば、エアフィルターの基本特性である捕集効率は、繊維径が150nmのナノファイバーの場合、後加工を施すことなく、高性能エアフィルターなどに採用されるエレクトレットフィルターと同等以上の性能を発揮することができるようになるという。

同社の技術で作られたナノファイバーの断面写真

一方のY型断面ナノファイバーは、精密複合紡糸技術を形に適用したもので、ナノファイバーでありながら断面に凹部を形成させる精密加工を実現。これにより、これまでの三角や多角形断面に加えてY型断面のナノファイバー(繊維径500nm)の製造が可能になったという。

開発されたY型の異型断面ナノファイバーは、断面に凹部を持つため、接触する材料との間に大きな圧力が加わることで、ワイピング性能が従来のナノファイバー対比で向上するほか、ナノファイバー断面の凹部分で繊維間に空隙が形成されるため、ワイピングで掻き取った汚れをその空隙に吸収、保持でき、それにより払拭した面に微細な汚れを残さず、高いワイピング性能を発揮することが可能だ。

同社技術による各種の形をした繊維の断面写真

なお、同社では同技術を活用したナノファイバーについて、機能性を生かした快適衣料やスポーツ衣料などの高機能アパレル製品をはじめ、フィルター材料や医療材料といった高性能産業資材用途など、環境・水・エネルギー、情報通信・エレクトロニクス、自動車、ライフサイエンスなど幅広い領域において、優れた機能を発揮する先端材料としての展開が期待されると説明している。