富士通研究所は12月19日、欧州の研究開発機関「ホルスト・センター」と医療・ヘルスケア、農場管理など様々な分野に適用可能な無線センサネットワーク向け超低消費電力無線トランシーバ開発に関する共同研究を開始したことを発表した。

ホルスト・センターは、2005年にオランダ政府、ベルギーのフランダース政府の支援を受け、ベルギーの研究機関imec(Interuniversity Microelectronics Centre)とオランダの研究機関TNO(Netherlands Organization for Applied Scientific Research)が、オランダのアイントホーヘン市に共同で設立した研究開発機関で、複数の企業や大学との間でロードマップと研究テーマを共有するオープンイノベーション型を採用し、2012年現在で約28カ国、合計180人以上の研究者・関連従事者で構成され、40以上の企業が自律動作可能な無線センサネットワークや、有機素材上へのシステム回路形成技術(System in Foil)を研究の中心対象とした研究プログラムに参加している。

今回の共同研究は、散在するセンサが無線を用いて自律的にネットワークを形成し、さまざまな情報を収集する無線センサネットワーク、特に医療・ヘルスケア、農場・牧場管理、社会インフラ・構造物監視、工場監視、環境監視などの分野での利活用において課題となる各センサ機器(ノード)に搭載されたバッテリ寿命を延命するために無線トランシーバの低消費電力化技術を開発しようというもの。

ホルスト・センターは、無線トランシーバの低消費電力化に関して世界的な技術を保有しているほか、富士通研でもUHF RFIDタグ用LSIなどの無線センサネットワークとは異なるシステムでの低消費電力化技術ノウハウを蓄積しており、今回の取り組みは、それらのノウハウを持ち寄ることで、こうした課題を早期に解決し、製品化を目指そうというものとなっている。

なお富士通研では、今回の研究を通じて、ネットワークフロント技術の強化を進め、クラウドをはじめとする富士通のビジネスの強化に取り組んで行きたいとしている。

超低消費電力無線トランシーバの応用分野