STMicroelectronicsは、デュアル・インタフェースを搭載した次世代セキュア・マイクロコントローラ(マイコン)「ST31シリーズ」を発表した。

欧州では90%を超えるカード支払い端末が、Chip and PINカード向けのEMV(Europay、Mastercard、Visa)規格に準拠しているほか、カナダ、オーストラリア、日本、韓国などでICカード導入が進んだ結果、クレジットカード詐欺の減少が進んでいることが確認されており、中国や香港の銀行でも2015年までの変更完了に向けた取り組みを進めているという。

同製品は高い演算処理能力と電力効率を提供する「ARM SecurCore SC000プロセッサ」と、接触・非接触通信および複数のIC乗車券規格(MIFAR、MIFARE DESFire、Calypso)のサポートを組み合わせたセキュアマイコンで、多様なアプリケーション向けに汎用性を強化したものとなっている。

EMVCoおよびCommon Criteria EAL5+/EAL6+のセキュリティ認証取得に向けた高いセキュア・アーキテクチャに基づいており、DES、AES、RSA、ECCなどの一般的暗号化アルゴリズムをサポートすると同時に、ARMのv7-Mマイクロコントローラ・アーキテクチャに基づくSecurCore SC000を採用することで、同社では実装コストを低減することが可能となり、カード会社にとってコストが重要な判断材料となる過渡期にある地域(中国など)における、ICカードの導入が促進されるものとの見方を示す。

内蔵EEPROMは16KB~52KBまで選択が可能なほか、公開鍵暗号化アルゴリズム用NESCRYPTコプロセッサも搭載。また、接触カード・アプリケーション向けISO 7816に準拠しているほか、ISO 14443 A/B/B'非接触プロトコル、自動プロトコル検出機能を搭載。非接触データ通信速度は最大で3.4Mbps、接触/非接触処理の同時サポートも搭載しているほか、オプションとしてNESLIB認定暗号化ライブラリやMIFARE、MIFARE DESFire認定ライブラリも提供される。

なお、すでに同シリーズはサンプル出荷を開始しており、2013年4月に認定を取得する予定。シングルまたはデュアル・インタフェース、ウェハまたは組み込みモジュールで提供される予定だという。