IDC Japanは10月30日、国内ビジネスモビリティの市場予測を発表。それによると、携帯電話、スマートフォン、通信カード、Wi-Fiルーター、タブレットの法人市場を示すビジネスモビリティ市場において、データ+音声の売上(データ通信+音声通信による売上:月額利用料金×12ヶ月×加入者数)が、2012年には前年比9.4%増の5,416億円、2016年には6,021億円に達し、2011年から2016年における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)が4.0%になると予測している。

国内ビジネスモビリティ市場 端末タイプ別 法人加入者数予測(2010年から2016年) 資料:IDC Japan

2011年のビジネスモビリティ市場は、携帯電話からスマートフォンへの移行が順調に進んでいるとは言えず、データと音声を合わせた売上は、一時的にマイナス成長となった。この要因は、携帯電話とスマートフォンのARPU(Average Revenue Per User)に関係があるとIDCではみている。

2011年に携帯電話のARPU(データ+音声)が3,316円(2010年)から2,717円に下がったのに対して、スマートフォンのARPU(データ+音声)は、4,281円(2010年)から5,730円に上昇した。この結果、ARPUの差が3,000円を超えスマートフォンへの移行が進まなかったという。

IDC Japan PC、携帯端末&クライアントソリューション グループマネジャーの片山雅弘氏は、「法人市場で、携帯電話からスマートフォンへの移行がなかなか進まない。最大の要因は月額利用料金が、携帯電話と大きくかけ離れている点にある。月額利用料金が携帯電話に近づくか、スマートフォンを利用する価値がユーザーに理解されない場合、普及がさらに遅れる可能性がある」と分析している。