Cypress Semiconductorは、ワイヤレスマウスやトラックパッド、リモコン、プレゼンテーションツールなど、ヒューマンインタフェースデバイス(HID)向けワイヤレスラジオとタッチセンシング回路を集積した1チップソリューション「PRoC-UI」を発表した。
同ソリューションは、独自の2.4GHz WirelessUSB-NLラジオと同社の静電容量式タッチ技術「CapSense」および「TrueTouch」を組み合わせたもの。これにより、近日発売が予定されているWindows 8アプリケーションでサポートされるジェスチャをはじめとする、ワイヤレスデバイスのユーザーインタフェース機能が実現される。また、標準的なHID用MCU機能も備え、3個のチップを効果的に1個にまとめることで、複数チップ実装の場合と比較して、部材コストやボードスペース、消費電力を削減しながら信頼性を向上させることが可能になるという。
同社のCapSense技術は、機械式ボタンの置き換えとして実績があり、高い信頼性を実現している。「PRoC-UI」は、TrueTouchタッチスクリーン技術でも利用でき、新しいWindows 8のジェスチャを含むマルチフィンガージェスチャ認識などの様々な新しいHIDの使用を可能にする。またTrueTouchの改良タイプでは、カスタマイズされたジェスチャもサポート。CapSenseとTrueTouchの両方の派生タイプにおいて、近接センシング(手を近づけたときにデバイスが起動)や触覚(触覚によるユーザフィードバックを提供)などの高度な機能が搭載されている。
さらに、「PRoC-UI」は1Mbpsで-87dBmという受信感度を有する。この高い受信感度によって、長距離(最大30m)での動作が可能になり、低電力の送信信号に対応できる。また、動作時および待機中の電流が低いため、電池の長寿命化が可能。この他、Wi-FiやBluetooth、コードレス電話、電子レンジなどで共通の周波数帯を使用して2.4GHzの妨害電波が存在する場合にも優れた性能を発揮する。
「PRoC-UI」は、同社のAgileHIDプロトコルをサポートしているため、WirelessUSB-NLユーザーは、追加的な作業なしに設計を開始できる。WirelessUSB-NLを用いたデザインをすでに有するユーザーは、同じドングルを再利用して「PRoC-UI」ベースの新たなタッチ製品を設計することができる。「PRoC-UI」には、最終製品をカスタマイズするための無料のソフトウェアが付属している。
なお、パッケージは40/68ピンQFN。現在、サンプル出荷中で、2013年1月に量産を開始する予定。