ダイキン工業は10月18日、同社子会社ダイキンアプライドシステムズが、リチウムイオン電池の製造工程などで使用されるドライクリーンルーム向け除湿システムとして消費電力量を従来システム比で年間6割のエネルギーコスト削減を可能にした「Smart Dry(スマートドライ)」を開発、2012年11月1日から受注を開始すると発表した。

リチウムイオン電池の世界市場は、2010年の約9000億円から2016年には約2兆4000億円にまで成長すると予想されており、今後も電気自動車やスマートグリッド用蓄電装置など、さらなる需要拡大も見込まれている。

そうした需要拡大の中、リチウムイオン電池の製造工程では、空気中の水分が性能低下や劣化につながるため、ドライクリーンルームと呼ばれる、低湿度(露点温度-30℃~-50℃)の環境を構築することが必要となっている。同環境を構築する手法としては、一般的に乾式除湿機を用いて露点温度-50℃の低湿度な乾燥空気を供給することで実現されているが、吸着材で吸収した水分を放出し、乾燥・再生させるために電気ヒーターや蒸気ヒーターなどで高温加熱を行うなどの2段乾式除湿方式が採用されているため、多大なエネルギーコストがかかり、その削減が課題となっていた。

同システムは、従来の乾式除湿機へ供給する一次空気の処理に、冷却吸着除湿技術を応用した新外気処理装置「Smart Dryユニット」を接続することで、吸着材の乾燥・再生処理温度を低減。これにより除湿機の再生処理温度は、従来の140℃から60℃へと下げることが可能になり、これにより廃熱の再利用ができるようになり、従来システム比で年間6割のエネルギーコスト削減が達成できるようになるという。

従来システムとの比較。上が従来システム。下がSmart Dryシステムの概要

なお、 既設に乾式除湿機が設置されている場合、設備全体の入れ替えを行うことなく導入が可能なため、大規模投資が不要で低湿設備の能力増強やエネルギーコスト低減ができるようになるという。

Smart Dryシステムのイメージ