繊細で神経の張り詰めた作業の連続

(1)午前8時55分、いよいよ運送スタッフによるミーティングが始まった。今回搬入を担当するのは重量物、精密機器の運搬・搬入のプロフェッショナル。安全確認や各自の持ち場を確認して、トラックの到着を待つ。






(2)まずはクレーン車が登場。これでパーツ(ユニット)毎に到着する印刷機を吊り上げ、搬入路に移動させる。














(3)すぐに印刷機が登場(?)と思ったらまだ早い。まずは屋内で印刷機の位置調整を行うために必要な吊り上げ機械を搬入。これを先に入れて、ユニット毎に搬入される印刷機の位置を微調整する。







(4)9時を過ぎて、いよいよ印刷機を積載した10トントラックが到着。搬入日は太陽が輝く晴天。よってユニットにはビニールしかかかっていない。天候によってはきっちりと防水対策をして運ばれるとのこと。






(5)まずは細かいパーツから。といってもこれは大量にあるパーツのほんの一部である。









(6)先にスタンバイしていたクレーン車でゆっくりと印刷機のユニットが持ち上げられる。これはUV装置の冷却部分。建物の奥に配置する物から順番に搬入されるように、トラックの到着も調整されている。






(7)少しずつ印刷機らしい部分が見えてきた。右からフィーダー部(これから印刷される紙が搬送されるところ)、印刷ユニット(順番的にはブラック→シアン→マゼンタ→イエロー)は8色機ということでもちろん8基。ということは、まだ2色分しか到着していないということに。さらにその後ろには大量の接続用ケーブルが見える。




(8)クレーン車でトラックから吊り上げたフィーダー部を、ゆっくりと搬送路に移動させる。少しの衝撃も与えないよう、移動にも丁寧な取り扱いが求められる。







(9)ハンドパレットトラックのような持ち手付きの台車を、フィーダー部の下部分に差し込み、数人で押して屋内に搬入。








(10)普段は見られない印刷ユニット側のフィーダー部。水平にならされたコンクリートの床をゆっくりと進んでいく。








(11)今回の8色印刷機と合わせて導入されたのがUV装置。IST社製でハイデルベルグと共同開発したDryStar(ドライスター)UVシリーズは、省電力型のUV乾燥装置。アルプスPPSが導入した枚葉印刷機は8色=両面印刷が可能なので、2台導入された。






(12)これも普段はなかなかお目にかからない印刷ユニットの内部。まだ印刷インキももちろん流し込まれていない、まっさらな状態。右側に写っている銀色の円形部分は用紙を次ユニットに運ぶ送り胴。






(13)印刷ユニット部分は台車に移したあとで、数人がかりでゆっくりと屋内へと運び入れる。少しの振動で印刷ユニットに影響を与えるため、かなり慎重な動き。これでまだ2色分の印刷ユニットしか搬入されておらず、さらにここから6色分の印刷ユニット、印刷インキを数値管理するコントロールセンター(品質管理装置)や色見台などが、トラック10台で運ばれる。この搬入作業は夕方まで行われた。



(14)ハイデルベルグ社のお膝元、ドイツからはるばるやってきた新しくてピカピカなSpeedmaster。ロゴもどこか誇らしげ。








これが今回の工程表。搬入から5月一杯は機械設置。この設置も1000分の1の単位で水平/左右方向の配置が調整されるため、気が抜けない重要な作業だ。続けて6月中旬まで、実際にインキを流し込んで本刷りを行いながらの調整が入る。本格稼働となるのは6月末だそうだ。

興奮の搬入! 大型精密機械搬入に立ち会って

「オフセット印刷機の搬入作業が見たい」という素朴な欲求からスタートした今回のリポート。運ばれるのは重量級の機械ながら、思った以上に繊細で神経の張り詰めた作業の連続だった。現場にはハイデルベルグの技術担当者も同席し、逐次機械のチェックを怠らない。常に水平をチェックし、1ミリの誤差も許さない──。いかにオフセット印刷機が精密な機械なのか、体感として良く理解できる現場だった。

アルプスPPSによれば、この最新鋭オフセット枚葉UV印刷機を利用した新サービスを近日中にスタート予定とのこと。目標は「納期短縮を実現した印刷サービス」とのことで、印刷サービスの拡充が待ち遠しい。

後編となる次回は、設置を終えて組み立てられた「SM102-8-P+LE-UV」の全貌をお届けしよう。